ストレスは、長引かせない
「ストレスからは逃れられない」ことを大前提とすれば、ストレスと上手につき合うことが肝心になります。そのためにまず、ストレスはどのように現れるか、どのように悪化するのかを知って、「自分のストレスのサイン」に早めに気づくことが大切。そして早めに対処することで、大事に至らないですますことができます。
ストレスについて、知っておこう
すでに何度も登場しているストレスという言葉ですが、正確には「外からの刺激に対する体の反応」という意味です。何らかの外からの刺激(ストレッサー)によって、私たちの心や体が反応します。この反応した状態がストレス状態です。
ストレスの原因としてのストレッサーには、さまざまなものがあります。主なストレッサーとして、暑さや寒さ、騒音などの物理的ストレサー、大気汚染や食品添加物などの化学的ストレッサー、細菌やウイルス、花粉などの生物学的ストレッサー、病気やけが、睡眠不足や過労などがよくあげられます。ただし、一般的にわたしたちがストレッサーとして悩むことが多いのは、仕事や人間関係、家庭の問題などを含んだ、心理・社会的なものでといえるでしょう。たとえば、仕事が忙しすぎる、人間関係がうまくいかない、借金がある、家庭の不和などがこれにあたります。
気づいたら放置しないで早めに対処を
気をつけなければいけないのは、昇進や結婚など、喜ばしいことでも、ストレッサーになり得ることです。新しいことが始まるときや環境の変化があったときには、ストレスがつきものであることを十分に知っておくと、早めの対処がしやすくなります。
たとえば、異動と結婚など大きな変化が重なりそうな場合、ずらすことが可能なほうを調整したり、休息を多めにとるように心がけることでもストレスを軽くすることにつながります。
下に、ストレスがどのようなプロセスで悪化するかを挙げました。このプロセスのなかで注目すべきは「抵抗期」で、一時的にストレッサーに対して抵抗力がつく時期です。苦しい状況を乗り越えたころで、体のつらさも一時的に感じなくなるため、かえって無理をしがちになります。しかし、無理に状況に適応しようとして、自覚のないうちにかなりのエネルギーを使っているため、そのまま突き進むのは危険です。この時期に心がけてストレスを減らすことで、疲弊して病気になることを防ぐことができます。
ストレスの現れ方は、5月にも紹介しましたが、肩こりや頭痛など体に現れたり、不安や落ち込み、イライラなど心に現れたりします。また、暴飲暴食や遅刻、欠勤など行動に現れることもあります。人によってさまざまですが、いつも同じような現れ方をすることが多いのです。その傾向を知って、早めにストレス解消のための対策を立てることが肝心です。
ストレスはこうして悪化する
(1)警告反応期……ストレス状態が軽く、まだ自覚がない段階
精神的な疲れを感じていなくても、体や行動に症状が現れてきます。「なんとなく体がだるい」「ミスが増えた」などのような信号があちこちに現れ始めます。
(2)抵抗期……ストレスに対して、心や体が抵抗したり、反発したりする段階
ストレスを自覚しながら、これに負けないようにとあがいています。疲労感を感じながらに仕事をこなして頑張っていますが、その一方で「心臓がドキドキする」「胃が痛む」などの変調が起こります。
(3)疲弊期……心や体が疲れきって踏ん張れない段階
心身ともに疲れきって本格的な病気に移行しています。自分でもどうすることもできず、なにもやる気がしない、眠れない、食欲がない、体重が減るなど、心身症やうつの症状があらわれてきます。最悪の場合、死に至ることもあるのです。