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理解できないと嘆く前に

理解できないと嘆く前に

 ストレスの原因として最も多いのが「人間関係」。濃密すぎる人間関係も煩わしいものですが、コミュニケーション不足もストレスになります。必要なコミュニケーションは上手にとることが、人間関係のストレスを減らすためにも大切です。

仕事上の会話はすべてメールで済ませていませんか?

 仕事をもっている人にとっては、家族よりも職場の人たちとのほうが一緒に過ごす時間が長くなります。ストレスの原因として最も多いのが「人間関係」ですが、ことに職場では「○○さんが気に入らないから」「どうも馬が合わない」と感じても、仕事上でのかかわりのため、自分の意思で距離を置くこともままなりません。職場で「ほどよい人間関係」を築くには、それなりの努力が必要になるといえるでしょう
 最近、そうした距離感の取りづらさに加え、効率も考えて、職場での会話はできるだけメールで済ませてしまう、という人が多くなっているのではないでしょうか? これは、よりよい人間関係のためには考えものです。
 仕事とはいえ、人と人とのつながりにおいては、無機質な情報としてではなく、ときには電話で、ときには出向いて顔を合わせて会話することが大切。朝や退社時には、気持ちよくあいさつをすることも基本的なことです。

他人は自分と価値観が異なって当然と心得よう

 たとえば、生まれた国や人種が異なれば、考え方や価値観も異なっていて当然です。外国人と仕事をしなければならなくなったとしたら、その人の育ってきた背景や文化、土地柄なども考慮に入れてコミュニケ―ションをとる必要が出てきます。このような配慮は、なにも外国人との間だけに必要なものではありません。
 職場では、世代や立場の違いから「理解し合えない」と、敵対するように感じてしまうこともあるでしょう。その一方、どこかで「自分と同じ考え方をもっているはず」と思い込み、そうではなかった相手に対して、「裏切られた」と感じてしまうこともあるかもしれません。
 そんなとき「理解できない」と嘆く前に、外国人に対するのと同じように、人は一人ひとり異なる価値観をもっているのだと考えて、お互いを理解しようとする気持ちが大切なのではないでしょうか。価値観の違いを受け入れて、場合によっては上手に取り入れることによって、自分にとっても相手にとってもプラスになることも多いものです。ひいてはストレスを減らすことにつながります。
 コミュニケーションを上手にとろうとして、気の利いた話をしようなどと気負う必要はありません。最も大切なのは、相手の話を「聴く」ことです。ただの情報や音として「聞く」のではなく、必要なときには身を入れて、相手の話を理解しようと「聴く」ことがポイントです。
 最近、連絡はメールに頼りすぎているかな? という人も、ここぞというときは、相手の話を「聴く」ことを心がけてみてはいかがでしょう。

相手が話しやすくなる聴き方アドバイス

(1) 相手の言葉を最後までじっくり聴く
(2) 相手の気持ちを受け止めるつもりで聴く
(3) ゆっくり話す
(4) 責めない・詰めない
(5) うなずく
(6) 目を合わせる
(7) 穏やかな表情で対応する
(8) 理解できないことは(理解したいからと)、再度聞き返す
(9) 結論を急がない

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。