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意見が対立したときの上手な伝え方

意見が対立したときの上手な伝え方

相手と意見が対立してしまった場面で、怒りを感じたり、ストレスを覚えたりした経験はありませんか? その場だけの関係なら、別のストレス解消法などでやり過ごすのも一方法です。しかし、毎日一緒に仕事を進めるメンバーとの間などでは、相手に「どうしてほしいのか」を上手に伝えて折り合っていくことが、人間関係のストレス軽減にもつながります。

お互いの違いを認めるコミュニケーションが大切

交流分析を考案したアメリカの精神科医バーンは、「過去と他人は変えられない」と言っています。自分の立場や力を利用して相手に押しつけたり、変えようとしたりするのは、相手の人権を侵害することになります。人間が変わるというのは、お互いのコミュニケーションのなかで、その考えを理解して、そうすることを納得して生じる行動の変化をいいます。すなわち、よりよい人間関係を築くためには、お互いの違いを認め、自分の考えを率直に表現し、相手もその考えに耳を傾けて理解しようとするコミュニケーションが大切です。

4つのステップで歩み寄る伝え方

とくに職場などでは、相手と意見が対立してしまうときも、自分の意見をきちんと伝えて、どう折り合っていったらよいかを話し合う必要が出てきます。
そんなときのコミュニケーションの方法として、アメリカの心理学者バウアー夫妻が考案したDESC(デスク)法を紹介します。自分の気持ちや考えを整理して相手にきちんと伝えるときためのハウツーであり、交渉や頼みごとをするときにも有効な方法です。
「今、○○に対して、●●な気持ちをもっている。だから、△△をしてくれないか」と、提案することで相手と歩み寄る方法ですが、提案は受け入れられないこともあるので、その場合の対応を複数考えておきます。お互いに歩み寄ることができれば、相手も自分も満足できる結論につながるでしょう。

DESC法の基本ステップ

D(Describe):描写する 事実を客観的に述べる

E(Express):表現する 事実に対する自分の主観的な気持ちを述べる

S(Specify):提案する 相手に望む行動、妥協案、解決策などを具体的に提案する

C(Consequence):結果 相手の「イエス」か「ノー」の反応に対して対応する

【具体例】
顧客への提案書に不備があり、契約がまとまらなかった部下の報告に上司が忠告するとき

■通常ありそうな話し方

また、契約をとれなかったのか
そんな初歩的なミスなんて論外だよ
どう対処するつもりなのか、対策を考えろ
まったくいつまでたっても頼りにならないな

■DSEC法での話し方の一例

D:これで2回続けて契約がまとまらなかったことになる
E:今日は期待していたんだぞ
S:これからは、提案する前に相談してくれないか?
C:(部下が肯定した場合)そうしてくれると事前にアドバイスできるからな
(部下が否定した場合)じゃあ、明日にでも次の提案書について一緒に考えよう

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。