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健康的な日本食はうつ症状にも効く

健康的な日本食はうつ症状にも効く

忙しかったり、ストレスがたまっていたりすると、食生活がおろそかになりがち。しかし、そういうときこそ栄養バランスのとれた食事で心身を整えたいものです。野菜や果物、大豆製品、きのこなどを中心とした日本食は、うつ症状の予防・改善にもつながることがわかっています。

「健康日本食」の傾向の高い人では、うつ症状のある人が半数以下

近年、「和食」が世界無形文化遺産に登録されるなど、日本の伝統的な食事は、日本人の健康長寿を支えているものとして世界的に認められています。メタボ予防やダイエット、がん予防などに有効であることはよく知られていることですが、実は日本食は、心の健康にも効くことを知っていますか?
日本で21歳から67歳までの男女約500人を対象とし、日本食を含む次の3つの食事パターンの傾向の高さと、うつ症状との関係を調べた研究があります。

「健康日本食パターン」:野菜や果物、大豆製品、きのこなどをよく食べている
「動物性食品パターン」:魚介類や肉類、加工肉、マヨネーズ、卵などをよく食べている
「洋風朝食パターン」:パンや菓子類、牛乳・ヨーグルト、マヨネーズなどをよく食べ、魚や米飯などの摂取が少ない

それぞれの食事パターンの傾向の高いグループと、最もその傾向の低いグループとで、うつ症状の有無を比較した結果、「健康日本食パターン」の傾向の高い人は、その傾向が最も低い人に比べて56%も、うつ症状のある人が少なかったのです。
「健康日本食パターン」の傾向の高いグループでは、葉酸(ビタミンB群のひとつ)やビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類の摂取が多かったことがわかっており、これらの栄養素がうつ症状を軽減したと考えられます(「バランスのよい食事でストレスに強くなる」参照)。
葉酸は、貧血の予防にも効果があり、妊娠中の胎児の成長にも必要不可欠なので、特に女性には積極的にとってほしい栄養素です。ほうれん草や春菊、菜 の花、ブロッコリー、カリフラワー、アスパラガス、白菜、レタスといった葉菜・花菜・茎菜類、いちごやアボカド、夏みかんなどの果物類、大豆やそら豆、納 豆などの豆類に多く含まれています。

良質のたんぱく質をしっかりととる

日本食で気をつけたいのは、低たんぱくになりがちな点。うつ状態のときに減ると言われる脳内の伝達物質セロトニンは、たんぱく質から分解されるアミノ酸(トリプトファン)から作られます。
また、まだはっきりとしたことはわかっていませんが、青魚に多く含まれるEPAやDHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸がうつ症状を改善につながるとも言われています。たっぷりの野菜とともに、肉・魚類もとるようにしましょう。

「食べることを楽しむ」ことも重要

とはいえ、食事は「しっかりと栄養をとってさえいればいい」というものではありません。楽しく、おいしく食べてこそ、ストレス解消につながります。
誰かとともに食卓を囲んで、和気あいあいとした時間を過ごすことや、食べ物への感謝・作ってくれる人への感謝の気持ちをもつことは、心の栄養補給につながります。
ときには家族や友人、同僚と一緒に、ゆっくりと食事を楽しみましょう。

Nanri, A., et al. "Dietary patterns and depressive symptoms among Japanese men and women." European journal of clinical nutrition 64.8 (2010): 832-839.

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。