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「自信がもてず、新しいことになかなか挑戦できません」

「自信がもてず、新しいことになかなか挑戦できません」

Q.20代女性です。同僚や友人は資格を取得したり、新しい趣味をもったり、恋愛を楽しんだりと充実した生活を送っていて、羨ましく思っていますが、私にはうまくやる自信がなくて二の足を踏んでいます。新しいことに挑戦する勇気をもつには、どうしたらいいでしょうか。

A.大きな目標を目指そうとすると、誰でもためらったり挫折してしまったりするものです。小さな目標から取り組み、成功体験を積み重ねていきましょう。

自信がない状態とは、「自己効力感が低い」状態

相談者さんには、今の生活をもっと充実させたい、今よりも成長したいという思いが強くあるものの、なかなか一歩を踏み出せずにいるのですね。なんらかの新しい課題に挑戦しようとする際、自信がない状態になることは誰にでもあります。この自信がない状態を、心理学では「自己効力感が低い」といいます。

自己効力感とは、やろうとしていることに対して、「自分ならできる」「このくらいできそう」という感覚です。自己効力感を高くもつ人は、失敗に対する不安が小さく、積極的に行動できることがわかっています。

自己効力感を高めるには、小さな目標をクリアして成功体験をもつ

その自己効力感を高める最も効果的な方法はというと、成功体験をもって達成感を味わうこと。そのためには、ある課題の達成のためにいきなり高い目標を設定するのではなく、間にいくつかの小さな目標(スモールステップ)を設定して、一つひとつ目標達成するようにしてみましょう。富士山登山に初めて取り組む人が、いきなり頂上を目指すのではなく、まずは6合目を目指し、次に7合目を目指す……というイメージです。

そのように、達成可能な小さな目標から順に取り組んでいくことで、成功体験を積み重ねてみましょう。達成感は快感として脳に深く刻み込まれ、乗り越えたプロセスや「やればできる」という自信も脳に記憶されます。すると、再び達成感を味わいたいという気持ちになり、新たなやる気が生まれるのです。

このように「成功する⇒達成感を得る⇒やる気が出る⇒また成功する」という好循環が作られれば、徐々に自己効力感が高まり、結果的に高い目標を達成できるようになっていきます。

達成後の自分をイメージしたり、1年前の自分を振り返ることも有効

課題を達成する間には、苦しいことや、解決策を見つけようとしてストレスを感じることもあるかもしれません。しかし、そこを乗り越えると、やり遂げたあとの清々しさを得られます。相談者さんのような場合はさらに、新たな資格が得られたり、楽しい趣味や新しい人間関係が生まれるなど、いろいろな広がりがあるでしょう。そんな、達成後の自分の姿をイメージするのも有効です。

また、今の自分が何も達成できていないように感じていても、1年前の自分を思い返してみると、できたことやがんばったことがたくさん見つかるのではないでしょうか? 自分にもできたこと、できることがたくさんあると認識することも、自信や希望につながります。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。