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「秋になるといつも気分が落ち込みます。どうしたらいいでしょうか?」

「秋になるといつも気分が落ち込みます。どうしたらいいでしょうか?」

Q.20代女性です。昨年から、秋から冬にかけて気分が落ち込みやすく、あまりやる気が出なくて困っています。こんな風になるのは私だけでしょうか? 何か対策があるのであれば教えてください。

A.日照時間の影響が考えられます。朝、目が覚めたらすぐに日光を浴びたり、できるだけ外出したりするようにしましょう。また、その時期に強いストレスを感じる出来事や変化があると、毎年同じ時期に調子が悪くなることもあります。

日照時間が減ることが原因。症状がひどい場合は「冬季うつ病」が疑われる

秋から冬にかけて心身の調子が悪くなり、相談者さんのように気分の落ち込みを感じたり、やる気が出ないほか、疲れやすい、1日10時間以上寝ても眠い、過食してしまう(特に炭水化物や甘いものなど)といった症状が現れるのは、日照時間の減少によるものであると考えられています。

私たちの体は、朝の光を浴びると体内時計がリセットされ、脳内のセロトニンという神経伝達物質が増え、脳が元気になります。しかし、日照時間の短い季節は、日光の刺激が減るためにセロトニンも減ってしまうのです。

これらの症状は、春(3月ごろ)には回復する場合がほとんどですが、日常生活に支障をきたすほどひどく、2年以上続いている場合は「冬季うつ病」が疑われます。心療内科や精神科などの専門医の受診を検討しましょう。

意識して日光を浴びて体内時計をリセット。朝食をしっかりとり、外出を

これらの症状を防ぐために有効なのが、朝起きたら陽の光を浴びること。曇りや雨であっても、カーテンを開けるようにしましょう。日当たりの悪い部屋に住んでいる人は特に、意識的に日光を浴びることが大切です。とはいえ、昼まで眠っていては生活リズムが乱れてしまうので、早寝早起きを心がけましょう。

朝食も体内時計をリセットするためには欠かせません。特に、乳製品や大豆製品、肉類、卵、バナナなどに含まれるトリプトファンという必須アミノ酸には、セトロニンを増やす効果があります。それらを使った食事をしっかりとり、日中はなるべく外出するようにしましょう。歩いたり、運動したりして適度に体を動かすことも、脳の活性化に役立ちます。

気持ちが落ち込む出来事のある時期に、調子が悪くなることもある

また、秋冬に限らず、同じ時期に心身の調子が悪くなる場合は、以前その時期につらいこと(家族を亡くしたなど)を経験したためだったり、新年度などの切り替え時期で強いストレスを感じるためということも考えられます。

「自分はこの時期に調子が悪くなりやすい」と心の準備をしておき、前もって生活習慣を整えたり、自分なりのストレス解消法でセルフケアを行ったりすることで、軽減が見込めます。それでもよくならないときや、ひどくなるときは、専門医を受診しましょう。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。