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「仕事は充実しているはずなのに、職場に行くのがつらいです」

「仕事は充実しているはずなのに、職場に行くのがつらいです」

Q.30代男性です。責任ある仕事を任されるようになって、やりがいがあり毎日充実しているのですが、朝職場に行くのが心身ともにつらくなってきてしまいました。どんどん仕事が増え、任されてうれしいと思う反面、逃げたくてたまらず、その矛盾にイライラします。でも、「ぜいたくな悩み」と思われそうで、周囲に相談できません。

A.オーバーワークで疲れている自分に気づいた今が、立ち止まる時です。上司に相談して物理的な負担を減らしてもらうと同時に、同僚や友人など、身近な人に相談して心理的ストレスの軽減をはかりましょう。

仕事熱心な人に多いバーンアウト。気づいた「逃げたい気持ち」を尊重しよう

相談者さんは、仕事に精を出してがんばっていたら、少し疲れてきてしまったのですね。充実していると思えることは大切ですが、「疲れている自分」に気づくことも大切。逃げたい気持ちは自分にしかわからないものですから、その気持ちも尊重してください。

いわゆる“できる人”には、ノーと言えない人、いい人が多いものです。有能で周りの期待も大きく、多くの仕事を与えられているうちに、いわゆる「ワーカホリック(仕事中毒)」に。そして、許容範囲を超えた仕事量を任され、何かのきっかけで無気力やうつ状態に陥ってしまう「バーンアウト(燃え尽き症候群)」になってしまうことが少なくありません。

上司に相談し、負担を減らしてもらうことが必要。友人にも話してみよう

相談できないとのことですが、このままがんばり続けると、不調がひどくなる恐れがあります。無理をせず、現段階で正直に上司に相談し、仕事の負担を減らしてもらうことが必要です。うつになっている可能性もあるので、精神科医や心療内科医などの、心の専門家に相談することも検討しましょう。

また、同僚や友人に素直に打ち明けてみてはいかがでしょうか。あなたが頼りにしている仲間なら、やっかんだり批難したりせず、「つらかったね」ときちんと受け止めてくれるはず。アドバイスをもらえなかったとしても、話を聞いてもらうだけで気持ちが軽くなるものです。

そのように、問題を解決してくれたり間に入って調整したりといった物理的な支援をしてくれる上司や同僚、困っているときに相談にのってくれたりアドバイスをしてくれたりといった心理的な支援をしてくれる友人などは、「ソーシャルサポート」をしてくれる人といえます。

ソーシャルサポートの力でストレスを軽減

ソーシャルサポートとは「社会的支援」という意味で、自分の社交の範囲内で受けることのできるサポートのことです。ストレスの軽減には、ソーシャルサポートを得ることが欠かせません。

配偶者や恋人、両親や兄弟姉妹、趣味の仲間など、いろいろな人が当てはまります。話を聞いてくれる人、苦しさを受け止めて共感してくれる人、一緒にいるだけで楽しくてストレス解消ができる人を思い浮かべてみましょう。

ソーシャルサポートの力を借りるには、サポートしてくれる人をふだんから増やしておくことが大切ですが、その人たちと上手に付き合っていくこと、「自分は困ったときにサポートを受けられる」という期待感をもっておくことも大切です。

日々、仕事だけに没頭するのではなく、周りの人たちと適度にコミュニケーションをとることをおすすめします。互いのストレスを解消し合い、よりよい関係を築いていけることでしょう。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。