文字サイズ

「威圧的な上司との関係に悩んでいます」

「威圧的な上司との関係に悩んでいます」

Q.20代女性です。直属の上司とうまくいかず、悩んでいます。接待中に私が電話に出なかったと怒鳴られたり、些細なことを報告しなかったとして口を聞いてもらえなかったりするようなことがたびたびあり、職場に行くのがつらくなってきました。

A.いわゆる「パワハラ」と考えられます。周囲や外部の相談機関に相談し、その上司から離れられるよう検討してみましょう。上司への態度を変えたり、ストレスの解消を図るなどのセルフコントロールも有効ですが、解決しない場合は心の専門医を受診するようにしましょう。

業務の適正な範囲を超えた精神的・身体的苦痛は「パワハラ」にあたる

相談内容からは、理不尽でひどい上司から精神的苦痛を与えられ、おつらい様子が伺えます。相談者さんは「パワハラ(パワーハラスメント)」を受けているといえるでしょう。

パワハラとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義されています(厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」による)。

パワハラにあたる主な行為としては、次のようなものがあります。

①暴行や傷害などの「身体的な攻撃」

②脅迫や名誉毀損(きそん)、侮辱、ひどい暴言などの「精神的な攻撃」

③隔離や仲間外し、無視などの「人間関係からの切り離し」

④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの「過大な要求」

⑤業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないことなどの「過小な要求」

⑥私的なことに過度に立ち入るなどの「個の侵害」

まずは周囲の人に相談を。環境を変えられる可能性がある

まずは、一人で悩まず、周囲の信頼できる人に相談しましょう。産業医に相談できるとベストですが、産業医がいない場合は、職場の他の上司や同僚、あるいは職場内の相談窓口や人事担当部署などに話してみましょう。聞いてもらって気持ちが楽になるだけでなく、異動を含めて環境を変えることを検討できるかもしれません。

また、外部の相談機関として、労働局の総合労働相談コーナーや、「みんなの人権110番」なども役立ちます。電話やインターネットで相談を受け付けているところもあるので、調べてみてください(当記事の「参考用 外部リンク」参照)。

必ず味方になってくれる人がいること、今のつらい状況から抜け出せる日が来ることを、忘れないでください。

できれば自信をもって上司に向き合い、オンとオフの切り替えでストレス解消を

相談者さんの上司は、パワハラをする人に多くみられる「弱気なタイプの部下に対しては威圧的になる」人のように見受けられます。そういう人は、相手に正面から堂々と対峙してこられると、おじけづく場合があります。立場的に難しいとは思いますが、自分が正しいことであれば自信をもって向き合い、正論を発してください。

さらに、仕事(オン)の時間とそれ以外(オフ)の時間をきっちりと分けて、オフの時間を思いきり楽しんだり、自分なりのストレス解消法(「『ストレス1日決算主義』のすすめ」参照)をもったりして、できるだけストレスをためないようセルフコントロールすることも大切です。

とはいえ、それらも困難なほどつらい状況であったり、さまざまな体調不良に苛まれているようなときは、精神科や心療内科などの専門医を受診しましょう。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。