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「頭がぼーっとして考えごとができません。うつ病でしょうか?」

「頭がぼーっとして考えごとができません。うつ病でしょうか?」

Q.30代男性です。ここ2週間ほど、気持ちが落ち込んでやる気が起こらなかったり、なかなか眠れなかったり、仕事や行動が遅くなったりしています。頭がぼーっとして考えごとができないため、自分でもどうしたらいいかわかりません。うつ病なのでしょうか? うつ病だった場合、休職しなければいけないのでしょうか。

A.そのような症状が2週間以上続いているのであれば、うつ病を疑う必要があります。すぐにでも専門医を受診し、適切な治療や環境調整、休養などの措置をとりましょう。

憂うつな気分や意欲低下、不眠、疲れやすい、思考力低下などはうつ病の症状

お悩みのようすが伝わってきます。相談者さんが自覚している不調――何をするにも気力が起きない、体がだるく疲れがとれないといった症状は、誰にでも起こるものです。

しかし、以下のうち①と②のどちらか1つを必ず含む5項目以上の症状が、同じ2週間の間に存在する場合は、うつ病の可能性が高いと考えられます。うつ病は、適切な治療によって必ず治る病気ですが、時間が経てば自然によくなる病気ではありません。放置せず、すぐにでも心療内科医や精神科医などの心の専門医を受診しましょう。

【うつ病の診断基準(DMS-V)】

①抑うつ気分(気分の落ち込み、憂うつな気分など)

②意欲の低下(毎日の活動に興味を失う。何も楽しめない)

③食欲の減退、または増加(著しい体重変化)

④不眠、または睡眠過多

⑤イライラする、または言動が鈍くなる

⑥疲れやすく、気力がわかない

⑦無価値感、不適切な罪悪感

⑧思考力や集中力の減退、決断できない

⑨死にたいと、繰り返し思う

薬以外の休養や環境調整も治療のうち

一般的に、うつ病にかかりやすい人はまじめで几帳面な人が多く、「休んだら終わりだ」と調子が悪いのに無理し続けたり、職を失うことを恐れて休職できないといった人も見られます。しかし、うつ病とは心のエネルギーが枯渇してしまった状態なので、まずはゆっくりと休むことが大切です。

うつ病の治療では、抗うつ薬を中心とした薬物治療のほかに、仕事から離れて休養をとることや、職場での配置転換や業務内容の変更といった環境調整も必要となります。専門医のもとでうつ病と診断を受けたら、その指示に従って、職場の上司や人事担当部署に相談したり、必要に応じ休職の手続きをとったりしましょう。

次第に意欲が戻ってきたら、物の見方やストレスの対処法などを見直す心理療法や、リラクセーション法などにも取り組みます。

うつ病は誰にでも起こりうる。ストレスを早めに解消して、ため込まない

うつ病の認知度は高まっていますが、病気の当初は身体症状(全身倦怠感や頭重感、食欲不振など)が表面に出ることが多く、心の病であると本人がなかなか認識できないことがあります。症状が2週間続いていなくても、「おかしいな」と感じたら受診を検討するか、メール相談や電話相談などの相談窓口などを利用することをおすすめします。

うつ病は決して特殊な病気ではなく、過剰なストレスによって誰でもかかる可能性があります。うつ病を予防するためには、ストレスに気づいたら早め早めに解消し、ため込まないことが大切です(「『ストレス1日決算主義』のすすめ」参照)。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。