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「海外赴任して3カ月。妻の活気がなくなり、家事もできなくなっています」

「海外赴任して3カ月。妻の活気がなくなり、家事もできなくなっています」

Q.40代男性です。3カ月前に海外赴任となり、妻と子と共に転居しました。退職してこちらへ来た妻が、1カ月ほど前からぼーっとしていることが多くなり、家に閉じこもりがちになってしまっています。以前は忙しくても料理には手を抜かずにいたのに、料理も掃除もろくにできず、最近では寝てばかりいます。通院を促しても、一人では行きたがりません。私は忙しくて病院に付き添うのが難しく、一時帰国させるべきか悩んでいます。

A.早めに一緒に現地の医療機関を受診しましょう。あなたが奥様の一番のサポート役となることが大切です。

日本と環境が大きく異なる海外では、ストレス症状が生じやすい

家族全員で慣れない海外で生活している中での奥様の不調に、悩まれているのですね。日本と環境が大きく異なる海外では、不適応によるストレスで、心身にさまざまな症状(やる気が出ない、気持ちが落ち込む、頭痛や腹痛、暴飲暴食など)が生じることがあります。しかし、何もする気が起きず寝てばかりいて、日常生活にも支障をきたしているというように、ストレス症状が強く出ている奥様の状況では、早めに現地の医療機関を受診する必要があるといえます。

相談者さんも、仕事と家事や子育てをこなして大変だとは思いますが、何よりも奥様のために、放置せずにすぐケアをしてください。海外赴任中の妻にとっては、夫がただ一人のサポート役なのです。

一緒に医療機関へ行って、医師の診断やアドバイスを受けることが大切

奥様はとても真面目で、がんばり屋の方に見受けられます。そういう人ほど、うつ病などの心の病にかかりやすいので注意が必要です。さらに、日本でがんばって仕事も家事もこなしてきたために、退職して海外に来たことで、一種の喪失感を味わっているのではないでしょうか。また、海外赴任者の配偶者は自分から意識的に働きかけないと、社会的なつながりが形成されにくく、孤立しがちです。

まずは、奥様の気持ちや話をよく聴き、一緒に医療機関へ行って、医師から診断やアドバイスを得てください。各国での受診方法や医療機関の情報については、外務省のWebサイト内の「世界の医療事情」というページが参考になるでしょう。

日中の生活管理が難しい場合は、一時帰国をして治療と静養に努めることが必要になるかもしれません。

相談者さん自身にも大きな負担がかかると思いますが、体調不良や精神不安定を感じたら、無理をせずできるだけ休養をとりましょう。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。