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ビタミンCでがん予防

ビタミンCでがん予防

 ビタミンCは抗酸化作用や免疫機能増加作用があり、がん予防効果が期待される栄養成分です。また、胃粘膜の委縮を抑える可能性も示されており、がんのなかでも、特に胃がんの予防効果が期待されています。

野菜や果物に豊富なビタミンCに期待される抗酸化作用

 細胞の老化などの原因となる活性酸素の発生を抑える働きがあるビタミンの総称を「抗酸化ビタミン」と呼びます。代表格はビタミンC、β-カロテン(体内でビタミンAに変わる)、ビタミンEなどです。
 活性酸素は、体内に取り入れた酸素が全身に運ばれる過程で発生し、本来は細菌やウイルス、有害物質などを無害化する作用があります。しかし、過剰発生すると、細胞膜に過酸化脂質を増加させて、細胞の老化を早めたり、血中LDLコレステロールを酸化させて動脈硬化を進行させたり、細胞の遺伝子を傷つけてがんを作ったりする要因と考えられています。
 ビタミンCには抗酸化作用のほか免疫力増強作用により、発がんリスクを低下させることも期待されています。胃粘膜の委縮を抑える作用がある可能性もわかっていることから、がんのなかでも、特に胃がんの予防効果が期待されています。

ビタミンCの摂取量が多いほど、胃粘膜の萎縮を抑制

 胃がん発生率の高い地域で行われた無作為比較試験では、胃がんのリスクを高める「委縮性胃炎」の人250人に、ビタミンCを「50mg」または「500mg」のどちらかを5年間毎日服用してもらいました。
 その結果、血中ビタミンC濃度は、「50mg」のグループでは摂取前より約13%上昇、「500mg」のグループは約39%上昇。「50mg」グループより「500mg」グループのほうが、胃粘膜の委縮の進み具合が、より抑えられていました。
 ビタミンCは胃の中で発がん物質の生成を抑える働きがあるのですが、胃にヘリコバクター・ピロリ菌がいて炎症が起きている場合は、炎症による活性酸素の発生を抑制するためにビタミンCが使われ、血中ビタミンC濃度が低くなってしまうという説もあります。
 すでに慢性胃炎や萎縮性胃炎の人は、ビタミンCが不足しないように毎日摂取して補う必要があります。ビタミンAやEは、取りすぎると体内にたまって副作用が出ることがありますが、ビタミンCは取りすぎても水に溶けて排泄されるので、副作用の心配はほとんどありません。
 慢性胃炎や萎縮性胃炎のない人のビタミンC摂取量の目安として、2010年版(最新版)の厚生労働省「日本人の食事摂取基準」によれば、1日の推奨量は小児と成人では100mg、妊婦では112mg、授乳中の女性では150mgとされています。
 ビタミンCは体内で合成することができないので、食べ物から摂取する必要があります。ただし、サプリメントに頼る前に、ビタミンCを豊富に含む野菜や果物をとることを心がけましょう。

ビタミンCを多くとる工夫

ビタミンCを多く含む野菜や果物

 ビタミンCは、野菜や果物に豊富に含まれています。特にピーマン、芽キャベツ、ブロッコリー、菜花、カリフラワー、にがうり、キウイフルーツ、レモン、いちご、グレープフルーツ、柿などに多く含まれています。
 水溶性ビタミンなので、水分に流出しやすい性質があります。また、熱に弱いという特徴もあります。こういう特徴を知って、調理によるビタミンCの損失を抑え、効率よく食べることがコツです。

ビタミンCを効率よくとるコツ

  • ゆでるときは、たっぷりの熱湯(高温)で、手早くゆでる。
  • ゆで上がりやアク抜きの際は、水にさらす時間を短くする。
  • アクの少ない野菜は、電子レンジで加熱すれば、熱湯でゆでるよりビタミンCの流失が少ない。
  • 加熱調理しても、煮汁の少ない料理にするか、汁ごと食べられるようにする。
  • 加熱調理しても、高温で加熱時間の短い炒め物などが、ビタミンCの流失が少ない。
  • 生食できる野菜は、生食する。
  • 果物はそのまま食べたり、ジュースにして飲む。
  • 野菜は加熱調理してカサを減らしてたくさん食べれば、ゆで汁に流出したり熱で損失したビタミンCの量を補うことができる。

津金 昌一郎先生

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。