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子宮頸がんは、ワクチン接種と定期検診で予防と対策を

子宮頸がんは、ワクチン接種と定期検診で予防と対策を

 若い女性に増えている子宮頸がん。原因は、ほとんどヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染であることがわかっています。リスクを軽減して子宮頸がんを予防するには、ワクチン接種が決め手。たとえかかったとしても早期に発見・治療できれば完治が可能なので、定期検診による早期発見も大切です。

HPVの持続感染が、子宮頸がんの原因

 子宮頸がんは20歳代後半から急増し、30歳代後半でピークを迎えています。ヒトパピローマイウルス(HPV)の持続感染が、子宮頸がんの原因であることが明らかになっています。HPVには100種類以上の種類があり、このうち15種類が子宮頸がんの原因になりやすいハイリスク型に分類されます。特にがん化に強く関係するのは16型、18型などです。

 HPVは、「いぼ」をつくる一般的なウイルスで、性交経験のある女性の約80%は、HPVに感染したことがあるといわれるほどありふれたウイルスです。
 ただし感染してもそのうち約90%の人は、自己免疫の働きで消滅してしまい、ごく一部の人が感染したまま、5年以上かけてがん化すると考えられています。

ワクチンの接種で、予防が可能

 子宮頸がんは、ワクチンの接種によって予防できる数少ないがんです。日本では2009年に、HPV16型と18型に対応する2価ワクチンが承認され、医療機関での接種が始まりました。2011年には、16型と18型に加え、良性腫瘍であるコンジローマの原因となるHPV6型・11型を加えた4価ワクチンも承認されました。

 これらのワクチンは、HPV感染を予防するワクチンであるため、性交を経験する前にワクチンを接種するほうが効果的です。そのため、おおむね小学校高学年から高校1年生の女子を対象(対象年齢は、自治体によって異なる)に、希望者には公費助成(国と自治体の全額費用負担)により、子宮頸がんワクチンの接種が行われています。
 ワクチン接種の推奨年齢を超えても子宮頸がん予防効果はあり、10歳代は約70%、20歳代は約60~65%、30歳代は約50%の予防効果があるといわれています。

ワクチン接種に加えて、定期的な子宮頸がん検診を

 子宮頸がんはHPVワクチンの接種で高い確率で予防できますが、100%予防できるわけではないので、ワクチン接種に加え、定期的に検診を受けて早期発見に努めることも大切です。
 子宮頸がんは検診でみつかりやすく、早期に発見・治療できれば、子宮を残すことができ、その後の妊娠も、完治も可能です。

 厚生労働省では、20歳以上の女性に対し、2年に1回の子宮頸がん検診を推奨しています。公費助成により低額で検診を受けることができます。また5年に1回は無料クーポン券が自治体から発行されています。それでもまだ、受診は20~30%程度です。
 早期発見のためには、子宮頸がん検診は少なくとも2年に1回は受けてほしいものです。

津金 昌一郎 先生

監修者 津金 昌一郎 先生 (国立がん研究センター 社会と健康研究センター センター長)
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究補助金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞受賞。一般向けの主な書著に『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。