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大腸がんは、肉のとりすぎだけでなく、飲みすぎや肥満もリスクに

大腸がんは、肉のとりすぎだけでなく、飲みすぎや肥満もリスクに

男女ともに部位別罹患数第2位となっている大腸がん。加工肉や赤肉のとりすぎが発生リスクを上げることが話題になりましたが、喫煙や過剰飲酒、さらには運動不足や肥満も要因となります。大腸がんは治る確率が高いだけに、定期的に検診を受け、早期発見に努めることも重要です。

罹患数は男女ともに第2位。死亡数は女性では第1位のがん

国立がん研究センターが先月(2016年6月)発表した、2012年の「日本のがん罹患数・率の最新全国推計値」によると、部位別の罹患数(新たに大腸がんと診断される人の数)では、大腸がんは男女ともに第2位。特に男性の場合、前年(2011年)の第4位から急上昇しています。

また、2014年の死亡数は男性では第3位ですが、女性では第1位となっている(厚生労働省「人口動態統計」)ことも見逃せません。

大腸は、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸からなり、これらをすべて合わせると全長2メートルほどにもなる臓器です。このうちのどこにがんができたかにより、「結腸がん」「直腸がん」などと呼ばれます。日本人の場合、S状結腸がんと直腸がんがもっとも多く、この2つで大腸がん全体の約半分を占めています。

大腸粘膜の細胞から発生した良性ポリープの一部ががん化する場合と、正常な粘膜から直接発生する場合とがあり、初期の段階では自覚症状はほとんどありません。進行するにしたがって、血便、下血、下痢と便秘のくり返し、便が残る感じ、貧血、体重減少などの症状がみられます。

喫煙、過剰飲酒のほか、加工肉や赤肉のとりすぎにも要注意

大腸がんの発生に関して、国内外のさまざまな研究結果により、いくつかの危険因子が挙げられています。

まず、筆頭に挙げられるのが、喫煙です。喫煙は、大腸がんだけでなく、すべてのがんや病気においても確実なリスクとなります。そして、過剰な飲酒も確実に大腸がんのリスクを高めます。大腸がんを予防するためには、喫煙者は今すぐに禁煙をすること、お酒を飲む人は適量を守ることが必須です。

また、食生活において、加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコン、サラミなど)や赤肉(牛、豚、羊など)の過剰摂取が大腸がんの発生リスクを上げることは、国際的な評価において「確実」とされており、日本人を対象とした多目的コホート研究*でもほぼ同様の結果が示されています。

加工肉は塩分も高いので、高血圧予防のためにもとりすぎには注意したいものです。赤肉は、国際的には1日平均で90g(生肉換算重量)を超えて摂取しないことが推奨されていますが、日本人の平均摂取量は63gであり、約8割の人は過剰摂取の心配はありません。また、アジア人を対象とした研究では、赤肉の摂取量が多いほど、がんや循環器疾患による死亡リスクが低い傾向にある、というデータもあるため、90gを超えない範囲で、適量をとるようにするとよいでしょう。

食物繊維も、国際的評価においては、大腸がんのリスクを下げることは「確実」とされています。しかしながら、多く摂れば摂るほどリスクが下がるというよりは、不足しないことが大切なようです。

また、カルシウムやビタミンDを多くとっている人は大腸がんのリスクが低い、という研究結果も複数あります。日本人の食事はカルシウムが不足しがちなので、積極的にとるようにし、卵や魚、適度な日光浴などでビタミンDも補いましょう。

*コホート研究…数万人以上の特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。