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膵臓がん、腎細胞がんの確実なリスクは喫煙と肥満

膵臓がん、腎細胞がんの確実なリスクは喫煙と肥満

がんのなかで5年生存率が最も低い膵臓(すいぞう)がんと、50歳代以上の男性に多くみられる腎細胞がん。いずれも特徴的な症状がほとんどなく、早期発見が難しいがんです。共通する確実なリスク要因は、喫煙と肥満。禁煙や減量をすることが、他の病気の予防にもつながるので大切です。

部位別の5年生存率が最も低い膵臓がん

膵臓は、胃の後ろにある長さ20㎝ほどの細長い臓器です。食物の消化を助ける膵液や、血糖値を調節するホルモン(インスリンやグルカゴンなど)を分泌する働きをしています。膵臓にできるがんのうちの90%以上は、膵液を運ぶ膵管の細胞にできます。

膵臓がんの罹患率は比較的低いものの、5年生存率は主な部位のがんのなかでは最も低く、男女ともに約8%です*1。そのため、2014年の死亡数は、肺、大腸、胃に続き3番目に多いがんとなっています。膵臓がんは、特有の症状がほとんどないことに加え、一般的な検査では見つけにくい位置にあるため、早期発見が難しいがんです。事実、診断時に最も重い「ステージ4」の患者さんが多かったのは、膵臓がんだったという報告もあります*2。こうした要因が、5年生存率の低さにつながっていると考えられます。

*1 国立がん研究センターの「全国がん罹患モニタリング集計 2006-2008年生存率報告」による。
*2 同「2014年がん診療連携拠点病院等院内がん登録全国集計」による。

男性は女性の2~3倍かかりやすい腎細胞がん

腎臓は、腹部に左右1つずつあるソラマメのような形をした臓器です。主に、血液をろ過して尿を作る働きをするほか、血圧のコントロールや造血にかかわるホルモンを分泌しています。

腎細胞がんは、尿を作る尿細管細胞から発生するがんです。罹患年齢は、50歳代から70歳代にかけて高齢になるほど高くなり、男性は女性の2~3倍多く発生します。腎細胞がんも特徴的な症状はほとんどなく、初期に見つかるケースでは、健康診断やほかの病気の検査で偶然発見される場合がほとんどです。

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。