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膀胱がんの約7割は喫煙が原因! まず禁煙を

膀胱がんの約7割は喫煙が原因! まず禁煙を

罹患率は比較的低いものの、60歳以上の男性に多くみられる膀胱(ぼうこう)がん。その約7割は、たばこが原因とされています。膀胱がんを予防するには、まずは禁煙することが第一。過去に喫煙していた人も、血尿などの異常や、尿検査で問題が見つかったら専門医を受診しましょう。

60歳以上で増加。男性は女性の約3倍

膀胱は、腎臓でつくられた尿が腎盂(じんう)、尿管を通って運ばれた後、一時的に貯めておかれる臓器です。腎盂、尿管、膀胱の内側は、伸縮性のある尿路上皮という粘膜で覆われています。この尿路上皮から発生したがんを総称して、尿路上皮がんといいます。

膀胱がんは、尿路上皮がんの中で最も多くみられるがんです。膀胱がんの罹患率を年齢別にみると、男女ともに60歳以上で増加する傾向にあります。また、男性に多いのも特徴で、罹患率は女性の約3倍となっています(国立がん研究センターがん情報サービスの「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ」2012年データによる)。

初発症状で最も多いのは血尿で、痛みなどを伴わないのが特徴です。肉眼でもわかる赤色や褐色の尿に自分で気づいたり、尿検査などで発見されたりします。ただし、病変の場所が膀胱の出口に近い場合は、排尿時に痛みを感じたり、頻尿、尿の混濁、残尿感など、膀胱炎に似た症状があらわれることがあります。

喫煙は確立したリスク要因

膀胱がんのはっきりとした原因はわかっていませんが、喫煙は確立したリスク要因となっています。膀胱・腎盂・尿管がんによる死亡のうち、男性では72%以上、女性では約3%は喫煙が原因という試算もあります。

そのほか、化学工場やゴム工場などで使われる化学物質(ナフチルアミン、ベンジジン、アミノビフェニルなど)にさらされることも、確立したリスク要因とされています。また、フェナセチン含有鎮痛剤、抗がん薬の一種であるシクロホスファミド、塩素消毒した飲料水がリスク要因候補として挙げられています。

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。