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親族にがんの患者がいれば、同じがんになりやすい?

親族にがんの患者がいれば、同じがんになりやすい?

遺伝するがんにはどんなものがある?

遺伝性大腸がんの代表としてあげられるのが、リンチ症候群と家族性大腸腺腫症です。

リンチ症候群は、全大腸がんの2~3%を占めると考えられており、大腸以外にも子宮内膜、卵巣、胃、小腸、腎盂(じんう)・尿管などにがんが発症しやすいとされています。リンチ症候群の場合、大腸がんの平均発症年齢は40代半ばで、一般の大腸がんよりも若い年齢で発症するのが特徴です。

一方、家族性大腸腺腫症は、全大腸がんの1%以下であり、頻度はあまり高くありません。若いころから、大腸全体に100個以上のポリープができ、そのまま放置するといずれはがん化すると考えられます。そのため、予防的に大腸のすべてを摘出する手術が行われることがあります。

乳がんと卵巣がんも、遺伝的要因が大きいとされるがんです。BRCA1、BRCA2という2種類の遺伝子の変異によって発症したものを「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群」と呼び、全乳がんの5~10%を占めるといわれています。

【遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の特徴】

  • 40歳未満で乳がんを発症しやすい
  • 両側の乳房に乳がんができやすい(再発ではなく、新たにできる)
  • 卵巣がんを発症しやすい
  • 家系内に乳がん、卵巣がん患者が複数いる
  • 家系内に男性の乳がん患者がいる

不安な場合は、遺伝カウンセリングを

遺伝性のがんが疑われる場合、自身や家族の将来について、さまざまな不安や悩みが出てくることが少なくありません。そんなときには、がんの遺伝子医療を行っている医療機関に相談することをおすすめします(全国遺伝子医療部門連絡会議のWebサイトで検索できます)。

近年、「遺伝カウンセリング外来」を設けている医療機関も増えつつあり、遺伝に関する個々の問題を解決していけるよう、専門家による心理面や社会面の支援が受けられます。もし、遺伝について不安を抱えている場合は、受診を検討してみるとよいでしょう。

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。