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肉や加工肉はできるだけ食べないほうが、がんになりにくい?

肉や加工肉はできるだけ食べないほうが、がんになりにくい?

赤肉(牛、豚、羊など)や加工肉の過剰摂取が大腸がんの発生リスクを上げることは、国際的な評価において「確実」、日本人を対象とした評価でも「可能性あり」とされています。しかし、日本人の平均摂取量は世界的に見ても低く、アジア人を対象とした研究では、赤肉の摂取量が多いほどがんや循環器疾患による死亡リスクが低い傾向にあるため、適量をとることが大切です。

国際的な評価では、赤肉・加工肉のとりすぎは大腸がんリスクを上げる

国際的な評価において、赤肉(牛・豚・羊などの肉のこと。鶏肉や魚は含まない)や加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコン、サラミなど)を多くとると、大腸がん(特に、結腸がん)の発生リスクを上げることは「確実」とされています。

赤肉や加工肉は、鶏肉などに比べると動物性脂肪が多く、がんの発生にかかわる化合物や成分を含むことが知られています。赤肉に含まれるヘム鉄が活性酸素を生み出し、遺伝子を傷つけることによりがんのリスクが高まる、とも考えられますが、明確なメカニズムはまだわかっていません。

また、国際がん研究機関(IARC)が行った科学的証拠に基づく総合的な判定によると、加工肉は「人に対して発がん性がある」、赤肉は「おそらく人に対して発がん性がある」と判定しています。

肉の摂取量が少なすぎても病気のリスクが高まる

このように、赤肉・加工肉と発がんとの関連性が指摘される一方で、赤肉にはたんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミンBなど、健康維持に役立つ栄養素も豊富に含まれています。また、赤肉に含まれる飽和脂肪酸は、とりすぎると動脈硬化の原因となり、心筋梗塞のリスクを高めますが、少なすぎると血管がもろくなり、脳出血など脳卒中のリスクを高めることがわかっています。

要は、適量をとることが重要であり、国際的には、赤肉の摂取量は1日平均90g(生肉換算重量)に抑えることが推奨されています。日本人の赤肉・加工肉の平均摂取量は63gと世界的に見ても低く、約8割の人は過剰摂取の心配はありません。日本人を対象に、赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクとの関連を調べた多目的コホート研究では、女性のうち赤肉の摂取量が多い(生肉換算で1日約80g以上)グループで、結腸がんリスクの上昇が見られました。また、男性は肉全体(鶏肉も含む)の摂取量の多い(生肉換算で1日約100g以上)グループで結腸がんのリスク上昇がみられましたが、赤肉でははっきりとした関連はみられませんでした。また、加工肉では、男女ともに関連はみられませんでした(「赤肉・加工肉の過剰摂取は、大腸がん発生リスクを高める」参照)。

しかし、アジア人を対象とした研究では、赤肉の摂取量が多いほど、がんや循環器疾患による死亡リスクが低い、というデータもあります。

* コホート研究…数万人以上の特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。