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コーヒーを飲んだほうががんを予防できる?

コーヒーを飲んだほうががんを予防できる?

国立がん研究センターの「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」では、コーヒーを飲む習慣により肝臓がんと子宮体がんを予防する効果が期待できる、と判定されています。ただし、無理に飲んだり飲みすぎたりせず、あくまで嗜好品として楽しむのがよいでしょう。

コーヒーをよく飲む人は肝臓がん、子宮体がんのリスクが低下

国立がん研究センターが実施している多目的コホート研究において、日本人男女約9万人を対象に、コーヒーを飲む頻度によって6つのグループに分け、その後のがん発生率を比較しました。

コーヒーと肝臓がんの関係では、コーヒーを「ほとんど飲まない」人と比べると、「ほとんど毎日飲む」人では肝臓がんの発生率が約2分の1に、「1日5杯以上飲む」人では約4分の1に低下していました。1日に飲むコーヒーの量が増えるほど肝臓がんの発生率は低下し、男女ともに同様の傾向がみられました。

一方、コーヒーと子宮体がんの関係では、コーヒーを「ほとんど飲まない」人に比べ、「毎日1~2杯飲む」人では約4割、「毎日3杯以上飲む」人では約6割、子宮体がんの発生リスクが低下していました。

国立がん研究センターの「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」において、多目的コホート研究を含めた国内の複数の研究結果に基づき、コーヒーの肝臓がんの発生リスクを下げる効果は「ほぼ確実」、子宮体がんの発生リスクを下げる効果は「可能性あり」と判定されています。

* コホート研究…数万人以上の特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

コーヒー独自の成分や作用に着目

肝臓がんや子宮体がんは、糖尿病の人がかかりやすいがんであることがわかっています。実は、コーヒーには糖尿病を予防する効果があるという研究結果が多数報告されており、糖尿病リスクを下げる(インスリン抵抗性を改善する)ことによって、肝臓がんや子宮体がんのリスクも下がる、とも考えられます。また、コーヒーに豊富に含まれるクロロゲン酸はポリフェノールの一種で、すぐれた抗酸化作用をもつほか、体内の炎症を抑える作用もあります。そのほか、抗炎症作用などがあるカフェインなどの成分も含んでいます。

しかし、現時点では、まだ明確なメカニズムはわかっていません。

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。