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肺がん1.3倍─受動喫煙がある人の、ない人と比べたときのリスク

肺がん1.3倍─受動喫煙がある人の、ない人と比べたときのリスク

日本人を対象とした複数の論文を統合・解析する研究により、受動喫煙がある人は、ない人と比較して、肺がんのリスクが約1.3倍となることがわかっています。非喫煙者であっても油断せず、一人ひとりが他人の煙を避けるよう努めることが大切です。

受動喫煙における肺がんのリスク評価が「確実」に

多くの調査や研究により、喫煙が肺がんのリスクを上げることは「確実」であることが明らかになっていて、日本では肺がんで亡くなった人のうち、男性で70%、女性で20%は喫煙が原因と考えられています。

これに加えて見逃せないのが、受動喫煙による影響です。以前にも、日本人を対象に受動喫煙と肺がんの関連についての研究は行われてきましたが、個々の研究では統計学的に有意な(偶然とは考えにくい、明らかな)結果が得られず、リスク評価が「ほぼ確実」にとどまっていました。非喫煙者の肺がんは発生頻度が低く、また、能動喫煙に比べるとリスクの増加が小さいことがその理由として考えられます。

そこで、国立がん研究センターでは2016年に、日本人の非喫煙者を対象に受動喫煙と肺がんの関連を報告した研究のうち、適用基準を満たした9本の論文結果に基づき、統合・解析(メタアナリシス)を行いました。

その結果、受動喫煙のある人は、ない人に比べて肺がんにかかったり、肺がんで死亡したりするリスクが約1.3倍となることがわかりました。これは、国際的なメタアナリシスの結果と同様となっていました。この研究結果から、日本人を対象とした受動喫煙における肺がんのリスク評価が、「ほぼ確実」から「確実」に格上げされています。

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。