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10年間に胃がんを発生する確率─ピロリ菌感染や萎縮性胃炎が影響

10年間に胃がんを発生する確率─ピロリ菌感染や萎縮性胃炎が影響

胃がんは、日本人に非常に多く、死亡数第3位のがんです。胃がん発生の最大の原因はピロリ菌の持続感染ですが、萎縮性胃炎が進んでいる人もリスクが高くなります。そのほか、喫煙や高塩分食品のとり過ぎ、家族歴などのリスク因子から、10年間に胃がんを発生する確率を予測するのが「胃がんリスクチェック」です。

生活習慣と「ABC分類」の結果から胃がんのリスクがわかり、アドバイスも

胃がんの最大の原因は、ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)の持続感染です。ピロリ菌の持続感染による慢性炎症が胃がんを引き起こすことは明らかになっていて、胃がん患者の99%がピロリ菌に感染していたという研究報告もあります。また、胃がんの前がん病変である萎縮性胃炎が進んでいる人ほど、胃がんのリスクが上昇することもわかっています。

このことを踏まえ、近年、胃がんのリスク分類として注目されているのが「ABC分類」です。これは、血液検査によってピロリ菌感染と萎縮性胃炎の有無をそれぞれ判定し、その組み合わせによって胃がんのリスクをグループ分けするというものです。

国立がん研究センターでは、ABC分類のほか、喫煙、高塩分食品のとり過ぎ、家族歴といった胃がんのリスク因子の組み合わせによって、10年間に胃がんを発生する確率を簡単に算出できる、「胃がんリスクチェック」というツールを開発しました(40~69歳の男女が対象)。

「胃がんリスクチェック」では、まず、年齢、性別、喫煙習慣、食習慣(塩蔵品の摂取頻度)、胃がんの家族歴、血液検査によるピロリ菌感染の有無、ペプシノーゲン値に基づく慢性胃炎の有無についての質問に答えます。
その後、診断結果のページへ飛ぶと、ABC分類と性別、年齢に基づく今後10年間に胃がんになる危険度と、さらに他のリスク因子(喫煙、塩蔵品の摂取、胃がんの家族歴)を加えた場合の危険度が割り出されます。それと同時に、現在の生活習慣での問題点や、胃がんのリスクを下げるためのアドバイスを受けることができます。

*前がん病変…がんに進む確率の高い、一歩手前の状態のこと

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。