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歯を磨くだけでなく、う蝕(虫歯)のリスクをチェックしましょう!

歯を磨くだけでなく、う蝕(虫歯)のリスクをチェックしましょう!

 う蝕(虫歯)の危険度を示す「カリエスリスク」。毎食後、一生懸命歯を磨いているのにう蝕(虫歯)になりやすいという人は、カリエスリスクの高さが一因かもしれません。もちろん、磨いているつもりだけで、正しい歯磨きができていない(磨けていない)からかもしれません。しかし、もともとう蝕(虫歯)になりやすいという場合もあるのです! 唾液などを調べる検査でカリエスリスクを知ることができるので、気になる人は一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。
 う蝕(虫歯)や歯周病の予防は、お口の健康はもちろんですが、体の健康につながります。より確実な予防が大切です。

なぜう蝕(虫歯)になりやすいのか、理由がわかる

 毎食きちんと歯を磨いているのにう蝕(虫歯)ができやすい人もいれば、あまり歯磨きをしていないのにう蝕(虫歯)に縁のない人もいます。これには「カリエスリスク」が関係しているかもそれません。
  カリエス(caries)とは、英語でう蝕(虫歯)のこと。カリエスリスクはう蝕(虫歯)の危険度を意味し、唾液によるカリエスリスクテストで調べることができます。できてしまったう蝕(虫歯)の治療だけでなく、その予防にも力を入れている歯科医院では、カリエスリスクテストを受けられるところが増えています。

カリエスリスクテストでは、5分間パラフィンワックスなどを噛んで唾液を採取するとともに、歯磨きの習慣や食生活などについてのアンケートを行い、主に次の項目を調べます。

  • 唾液の分泌量と緩衝能(かんしょうのう)
    う蝕(虫歯)の原因菌が、食べ物に含まれる糖分などをエサに酸を作り出すと、歯の表面のエナメル質に含まれるカルシウムやリン酸が溶け出します。これを「脱灰(だっかい)」といい、脱灰が進むとう蝕(虫歯)になります。唾液には酸性に傾いた口の中を中性に戻す力(緩衝能)があり、溶けた歯の表面を修復する「再石灰化」を行うことで歯を守っています。唾液の緩衝能が高いと脱灰の時間が短くてすむため、う蝕(虫歯)になりにくくなります。
     また、唾液には口の中を清潔に保つ役割もあり、唾液の分泌量が少ないと、う蝕(虫歯)のリスクが高まります(「唾液に秘められたパワー」参照)。
  • う蝕(虫歯)の原因菌
    う蝕(虫歯)は細菌によって引き起こされる感染症です。口の中には数百種類の細菌がすんでいるといわれていますが、う蝕(虫歯)の発生にはミュータンスレンサ球菌が、進行にはラクトバチラス菌が主にかかわっています。これらの細菌が多いほど、う蝕(虫歯)のリスクが高まります。
  • 歯垢(プラーク)の量
    歯垢(プラーク)は細菌のかたまりです。毎食後歯磨きをしていても、磨き残しがあると歯垢(プラーク)がたまり、う蝕(虫歯)の原因になります。
  • 1日の飲食の回数
    食事をすると、う蝕(虫歯)の原因菌が作り出す酸によって、口の中が酸性に傾きます。食事や間食の回数が多かったり、頻繁にアメをなめたり甘い飲み物を飲んだりすると、唾液の緩衝と歯の再石灰化が間に合わず、う蝕(虫歯)になりやすくなります。
  • フッ素の使用状況
    フッ素には、歯の表面のエナメル質を酸に溶けにくくする働きがあります。フッ素を含む歯磨き剤を使ったり、歯科医院でフッ素を塗ってもらったりすると、う蝕(虫歯)の予防効果があります。
  • う蝕(虫歯)の経験
    過去にう蝕(虫歯)になった歯が多いほど、う蝕(虫歯)のリスクが高いと考えられます。

弱点を知って予防に生かす

 各検査項目の結果は点数化され、グラフや表(レーダーチャート、カリオグラム)にまとめられます。唾液の緩衝能が低ければ、間食を控えて歯の脱灰と再石灰化のバランスを整える、歯垢(プラーク)の量が多ければ歯磨きを徹底するといったように、結果をもとに、歯科医からその人に合ったう蝕(虫歯)予防のポイントを指導してもらえます。う蝕(虫歯)になりやすいと感じている人は、その原因を知るためにも、一度カリエスリスクテストを受けてみることをおすすめします。自分の口の中の状態を客観的に知ることができるので、口腔ケアに対する意識が高まるでしょう。
  カリエスリスクテストを行うと、どこに問題があるのかがはっきりするため、その人に一番適した効率のよいう蝕(虫歯)予防が可能になります。う蝕(虫歯)や歯周病の予防は、お口の健康はもちろんですが、体の健康につながります。より確実な予防が大切です。

 なお、カリエスリスクテストには健康保険が適用されません。歯科医院によって費用が異なるので、事前に確認するようにしましょう。

稲垣 幸司 先生

監修者 稲垣 幸司 先生 (愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科教授 同大学歯学部歯周病学講座兼担准教授)
愛知学院大学歯学部卒業 同大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)。同大歯学部(歯周病学講座)講師などを経て、ボストン大学歯学部健康政策・健康事業研究講座客員研究員。愛知学院大学歯学部助教授、2007年より現職。日本歯周病学会専門医・指導医、日本禁煙学会専門医、日本歯科保存学会専門医、子どもをタバコから守る会・愛知世話人代表、禁煙心理学研究会世話人、日本小児禁煙研究会理事。アメリカ歯周病学会、国際歯科研究学会、日本歯周病学会、日本禁煙学会、日本骨粗鬆症学会、日本歯科衛生学会など国内外の所属学会多数。歯周病と全身疾患、特に骨粗鬆症や糖尿病との関係や脱タバコ教育、禁煙支援に関する研究などを行う。