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歯周病対策は、若い世代から早めに対策を!

歯周病対策は、若い世代から早めに対策を!

歯周病(歯肉炎+歯周炎)は中高年に多い口腔疾患ですが、歯肉炎は若い世代や子ども世代も無関係ではありません。歯肉(歯ぐき)の腫れや出血に気づいたら、痛みがなくても早めに手を打ちましょう。

子どもにも歯肉(歯ぐき)からの出血や歯石の沈着がみられる

子どもの口腔ケアというと、う蝕(虫歯)予防にばかり目が向きがちですが、歯肉(歯ぐき)に何らかのトラブルを抱えている子どもも少なくありません。厚生労働省「平成23年歯科疾患実態調査」によると、プロービング後の歯肉出血(※)は5~9歳の25.0%、10~14歳の26.7%、歯石の沈着は5~9歳の10.5%、10~14歳の18.6%にみられます。すなわち、5~9歳の35.5%、10~14歳では45.3%とおおよそ半分近くになんらかの歯周病の所見がすでに、存在することになります。

  • プロービング後の歯肉出血:棒状の器具を使った歯周ポケットの深さを調べる検査で、その検査時に歯肉(歯ぐき)から出血がみられること(図1)。

健康な歯肉(歯ぐき)は、薄いピンク色をしていて引き締まっています(図2)。歯と歯肉(歯ぐき)の境目には、深さ0.5~2mmほどの「生理的歯肉溝」と呼ばれるすき間がありますが、ここに細菌のかたまりである「歯垢(プラーク)」や、歯垢が固まって硬くなる「歯石」ができて、「生理的歯肉溝」がはがれて深くなり「歯周ポケット」となり、歯周組織(歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨)に炎症が起きるのが「歯周病」です(図3)。

歯周病は、進行の程度によって歯肉だけに炎症が起きた「歯肉炎」と歯周組織全体に炎症が広がった「歯周炎」に分けられます(図3、図4)。

歯周病の進み方

  • (プラーク性)歯肉炎:歯周ポケットに歯垢(プラーク)が沈着し、歯肉(歯ぐき)が炎症を起こして赤く腫れた状態。歯を磨いたときに出血することがありますが、痛みはありません。歯周ポケットの深さは2~3mm。
  • 軽度慢性歯周炎:歯肉(歯ぐき)の腫れが大きくなり、歯周ポケットの深さが4~6mmくらいになります。セメント質が汚染され、歯根膜は断裂し、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)の吸収が始まります(図5)。
  • 中等度慢性歯周炎:炎症が拡大して歯肉(歯ぐき)が下がる。歯の根の長さの半分近くまで歯槽骨の吸収が進み、歯周ポケットの深さは5~8mmくらいになります(図6)。
  • 重度慢性歯周炎:歯槽骨が半分以上吸収され、歯がグラグラして歯肉(歯ぐき)が腫れて、歯周ポケットから膿が出るようになります。歯周ポケットの深さは6mm以上で10mmを超えることもあります(図7)。

歯肉炎はきちんと歯磨きすれば改善可能

子どもにみられる歯肉(歯ぐき)のトラブルの多くは、歯周病の初期段階である(プラーク性)歯肉炎です。大きな原因は、歯磨きが不十分で歯垢(プラーク)が沈着することですが、軟らかい食べ物を好んだり、甘いものをよく食べるといった食習慣や、歯並びの乱れなども、歯肉炎の発症、進行に影響します。

また、女性ホルモンのバランスが大きく変化する思春期(11~14歳ごろ)の女子に、歯肉炎がみられることがあります。歯周病関連細菌のなかには、女性ホルモンを栄養にして増える細菌がいるため、歯肉に炎症が起きやすいのです。

(プラーク性)歯肉炎の段階であれば、歯磨きをきちんと行うことで改善できます。歯肉炎になったということは、それまでの歯磨きの方法に問題があった可能性が高いので、歯科医院で指導してもらいましょう。将来歯周病で歯を失わないためにも、子どものころからの対策が必要です。

稲垣 幸司 先生

監修者 稲垣 幸司 先生 (愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科教授 同大学歯学部歯周病学講座兼担准教授)
愛知学院大学歯学部卒業 同大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)。同大歯学部(歯周病学講座)講師などを経て、ボストン大学歯学部健康政策・健康事業研究講座客員研究員。愛知学院大学歯学部助教授、2007年より現職。日本歯周病学会専門医・指導医、日本禁煙学会専門医、日本歯科保存学会専門医、子どもをタバコから守る会・愛知世話人代表、禁煙心理学研究会世話人、日本小児禁煙研究会理事。アメリカ歯周病学会、国際歯科研究学会、日本歯周病学会、日本禁煙学会、日本骨粗鬆症学会、日本歯科衛生学会など国内外の所属学会多数。歯周病と全身疾患、特に骨粗鬆症や糖尿病との関係や脱タバコ教育、禁煙支援に関する研究などを行う。