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「歯科人間ドック」ってどんなことをするの?

「歯科人間ドック」ってどんなことをするの?

 う蝕(虫歯)や歯周病の早期発見はもちろん、顎関節症やがんなど、お口の健康を総合的にチェックする「歯科人間ドック」。予防に力を入れている歯科医院や病院歯科で、歯科人間ドックが広がりをみせています。

早期発見・早期治療で歯の喪失を防ぐことができる

 通常の健康診断に比べて、より多くの項目を検査するのが「人間ドック」です。健康維持や病気の早期発見のために、毎年受けている人は多いことでしょう。歯科の分野でも最近、「歯科人間ドック」が広がりつつあります。

 う蝕(虫歯)や歯周病などの自覚症状が現れてから歯科医院を受診すると、場合によってはすでに症状が進行し、歯を大きく削ったり、抜歯が必要になることもあります。
 しかし、定期的に歯科人間ドックを受けてお口の状態を確認していれば、病気の早期発見・早期治療により歯の喪失を防ぐことができますし、治療にかかる費用も少なくて済みます。
 長年にわたり定期的に歯科健診を継続した結果、歯科医療費だけでなく、医療費までも削減されたという報告もあります。また、最近の研究では、お口の健康がからだの病気の予防になることがわかっています。歯科人間ドックを継続することにより、お口やからだの健康が維持増進されるばかりでなく、将来的に医療費も軽減することが可能なのです。

お口の健康を総合的に調べる歯科人間ドック

 歯科人間ドックで行う検査の内容は医療機関によって異なりますが、日本歯科人間ドック学会では、下記の基本メニューを推奨しています。
 これらの検査でう蝕(虫歯)や歯周病の有無が分かるだけでなく、顎関節症、口腔がんや腫瘍などの病気の発見にも役立ちます。また、唾液の状態や生活習慣などからう蝕(虫歯)や歯周病のリスクを推測し、予防につなげることもできます。

日本歯科人間ドック学会 歯科人間ドック基本メニュー

http://www.jddock.net/kihonmenu.html

同意書および問診票の記入

間食の頻度、食事の回数、歯磨きの回数、これまでにかかったことのある病気、お口やお口に関連したからだの状態など
 ↓

レントゲン撮影(パノラマX線写真)

お口全体のX線撮影
 ↓

全身所見

(1) 体格 : 太りすぎ、やせ過ぎ(BMIで判定) ※BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
(2) 姿勢、歩行
(3) 皮膚 : 色素沈着など
 ↓

口腔外の検査

(1) 問診票の確認、血圧、脈拍
(2) 唾液検査 :唾液の分泌量、唾液のpHおよび緩衝能(酸性に傾いた口の中を中性に戻す力)、う蝕(虫歯)リスク検査、歯周病リスク検査
(3) 視診 :腫れの有無、左右対称性
(4) 触診 :唾液腺、リンパ節
(5) 顎関節症関連検査 :パノラマX線写真による関節部の骨形態の確認、開口量の測定、関節雑音の検査など
 ↓

口腔内の検査

(1) 口腔粘膜検査 :視診(湿潤の程度、色調の変化、腫れ・びらん・潰瘍の有無、骨形態)、触診(硬結、圧痛)
(2) 画像検査 :パノラマX線写真の続影(上顎洞、顎骨内病変、埋伏歯、骨粗しょう症の疑い*など)
(3) う蝕(虫歯)検査 :視診、触診、打診、温度診
(4) 歯周病検査** :歯垢(プラーク)の付着の有無、歯の動揺度など
(5) 咬合検査 :噛み合わせの検査  

 

*パノラマX線写真上のオトガイ孔下部の下顎骨皮質骨指標が、閉経後骨粗鬆症患者のスクリーニングにたいへん有用であることわかっています。つまり、下顎骨下縁皮質骨部の骨粗鬆症化度が進行につれ、骨粗鬆症のリスクが高くなります。しかも、パノラマX線写真によるスクリーニング能力が、医科での質問表によるスクリーニング能力と同等であることがすでに、確認されています。したがって、パノラマX線写真から、骨粗鬆症スクリーニングを行い、骨粗鬆症の疑いと判断されれば、無自覚であっても、早期な対応が開始できます。

**歯肉のメラニン色素沈着から、喫煙の影響や受動喫煙の影響も把握することができます。

稲垣 幸司 先生

監修者 稲垣 幸司 先生 (愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科教授 同大学歯学部歯周病学講座兼担准教授)
愛知学院大学歯学部卒業 同大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)。同大歯学部(歯周病学講座)講師などを経て、ボストン大学歯学部健康政策・健康事業研究講座客員研究員。愛知学院大学歯学部助教授、2007年より現職。日本歯周病学会専門医・指導医、日本禁煙学会専門医、日本歯科保存学会専門医、子どもをタバコから守る会・愛知世話人代表、禁煙心理学研究会世話人、日本小児禁煙研究会理事。アメリカ歯周病学会、国際歯科研究学会、日本歯周病学会、日本禁煙学会、日本骨粗鬆症学会、日本歯科衛生学会など国内外の所属学会多数。歯周病と全身疾患、特に骨粗鬆症や糖尿病との関係や脱タバコ教育、禁煙支援に関する研究などを行う。