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歯を失わないために歯周病をチェックしよう

歯を失わないために歯周病をチェックしよう

日本人の約7割がかかっているといわれる、歯周病。重症化すると歯が抜け落ちてしまうだけでなく、糖尿病や動脈硬化の悪化につながったり、女性では妊娠中にトラブルが起きやすくなったりと、全身の健康にも影響します。歯周病を起こしていないか定期的にチェックし、早めに対策を行うことが重要です。

歯周病は、歯ぐきに炎症が起こり、進行すると歯が抜け落ちてしまう病気

「歯周病」とは、歯と歯肉(歯ぐき)の間につくプラーク(歯垢)中の細菌によって歯ぐきに炎症が起こり、歯を支えている歯槽骨などの歯周組織が破壊されていく病気です。
プラーク細菌が付着すると、1週間から2週間程度で、歯ぐきがはれるなどの軽度の「歯肉炎」が起こります。その状態で放っておくと、歯と歯肉の間にできた歯周ポケット内で歯周病菌が増え、歯を支えている歯槽骨が溶ける「歯周炎」となり、やがては歯が抜け落ちてしまいます。
しかし、歯周病の初期には痛みなどの自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうケースがほとんど。歯周病が日本人の歯を失う原因の第1位であることからもわかるとおり、治療や対策が遅れて重症化してしまう人は多いのです。

歯周病菌は、口の中だけではなく全身の病気も悪化させる

最近の研究では、歯周病菌の影響は口の中だけにとどまらず、全身のさまざまな病気にも深くかかわっていることがわかってきました。
歯周病が悪化すると、口の中で増殖した歯周病菌やその菌がつくり出す毒素、炎症物質などが歯肉の血管に入ります。それらが血液に乗って全身をめぐり、血糖コントロールを低下させて糖尿病を悪化させたり、動脈硬化を進行させて心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしたりするのです。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)やその予備群の人は特に、メタボの重症化予防のためにも歯周病への注意が必要です。

また、女性ホルモンには歯周病菌の一部を増殖させる作用があり、女性は男性よりも歯周病に対して敏感です。
思春期の女性ホルモン変調期には侵襲性歯周炎といって急速に進行する歯周炎にかかりやすく、女性ホルモンの分泌が活発化する妊娠中に重度の歯周病になると、早産になったり、低体重児を出産したりするリスクが高まります。一方、更年期になると骨がもろくなり、骨粗しょう症のリスクが高まるのと同時に、歯周病も発症・悪化しやすくなります。
女性は、思春期、妊娠前・妊娠中や更年期には特に、歯周病予防と早期治療に努めましょう。

歯周病のリスクをチェックしよう

それでは、自分が歯周病になっていないかどうかをチェックしてみましょう。

【歯周病チェックリスト】
(1) 歯ぐきが少しはれている
(2) 歯を磨くと血が混じる
(3) 口の中がいつもねばついた感じがする
(4) 口臭がある
(5) 歯ぐきがやせて、歯が長くなったように見える
(6) 歯と歯の間に物がはさまりやすい
(7) 歯に触るとグラグラする

(1)から(4)にチェックが入った人は、歯周病の初期である歯肉炎や軽度の歯周炎が疑われます。数が多いほど進行している恐れがあり、特に(3)(4)にチェックが入った人は、軽度の歯周炎に進行している可能性があるので、要注意。
(5)以降にチェックが入った人は、進行した歯周炎が疑われ、数が多いほど進行している恐れがあります。

歯肉炎や軽度の歯周炎の段階であれば、歯周病菌の温床となるプラーク(歯垢)を歯磨きなどでしっかりと取り除くことで、健康な状態に戻せる可能性があります。しかし、進行している場合は、歯ぐきを切開するフラップ手術や、再生治療など、専門的な治療が必要となります。
歯周病が疑われたら早めに歯科に行き、症状のない人も、年に1度は歯科検診を受けて、口の中の状態を定期的にチェックしましょう。

和泉 雄一 先生

監修者 和泉 雄一 先生 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 歯周病学分野 教授)
1979年東京医科歯科大学歯学部卒業、83年同大学院歯学研究科修了(歯学博士)。87年ジュネーブ大学医学部歯学科講師、92年鹿児島大学歯学部歯科保存学講座2助教授、99年同教授を経て、2007年東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授(歯周病学分野)。08年東京医科歯科大学歯学部附属病院病院長補佐、14年より東京医科歯科大学副理事、日本歯周病学会理事長。日本の歯周病学・歯周治療学の第一人者。特に、歯周病と全身との関わり、歯周組織再生治療、歯科レーザー治療を専門としており、多数の難治症例を手掛けている。