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「痛くなってから歯医者」では遅い! 予防歯科を始めよう

「痛くなってから歯医者」では遅い! 予防歯科を始めよう

歯科医院へは「痛みや気になる症状が出てから行く」という人は多いでしょう。しかし、日々のセルフケアだけでは健康な歯を保つことはできません。むし歯や歯周病を予防するためには、歯科医院での定期的なチェックとプロフェッショナルケアを受けましょう。

歯の病気も、予防が重視される時代

心身の健康に関しては、従来から健康診断や予防接種などを積極的に受け、病気になる前に防ぐ「予防医学」が重視されています。それと同様に、歯科医院へも治療が必要となる前に定期的に通い、歯科医や歯科衛生士による検診とケアを受けるという「予防歯科」の考え方が、日本でも広がってきています。

「予防歯科」は、予防歯科先進国として知られるスウェーデンで、1970年代に始まった考え方です。スウェーデンでは当時、むし歯や歯周病で歯を失う人が多く、国家的な問題となっていました。そこで、大規模調査により、歯科疾患の改善にはセルフケアとプロフェッショナルケアの両方が重要であることを突き止め、定期的な歯科医院への受診を、国民の義務としたのです。

その後スウェーデンでは、歯を失う人が激減。70歳時点で残っている歯の数の平均値が、日本では約17本(厚生労働省「平成23年歯科疾患実態調査」)であるのに対し、スウェーデンでは約21本となっています。

定期検診受診率は上昇しているものの、半数の人は受けていない

日本でも、2011年に「歯科口腔保健の推進に関する法律」、2012年に「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」が制定され、「定期的な歯科検診の受 診は、成人期の歯周病予防に有効なものであり、その結果として中高年期の歯の早期喪失も抑制できることが期待されると考えられる」とされています (厚生労働省「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」による)。

過去1年間に歯科検診を受けた人の割合(20歳以上)を見ると、厚生労働省の「平成21年国民健康・栄養調査」では34.1%だったのに対し、平成24年の同調査では47.8%となり、年々増加しています。
とはいえ、まだ半数以上の人が定期的に歯科検診を受けておらず、国が進める「健康日本21(第2次)」の平成34年度までの目標値である「65%」にはまだ遠い状況です。
特に、若い男性で定期検診を受けている人は非常に少なく、20代男性では32.0%、30代でも35.3%となっています。
働きざかりで忙しく、「痛くないから」と先延ばしにしているのかもしれませんが、痛みや症状が出るころには、むし歯や歯周病が進んでしまっていることが多いもの。かえって治療が長引き、何週間も、あるいは何カ月も通院する結果になりかねません。

できるだけ半年に1度、少なくとも1年に1度は歯科医院へ行き、口の中をチェックしてもらうとともに、歯科医や歯科衛生士による清掃や、ブラッシング指導を受けましょう。

まずは「かかりつけ歯科医」をもとう

最近では、多くの歯科医院で「予防歯科」に力を入れています。一つの歯科医院に定期的に通うようにすれば、これまでの治療の経過や体質なども考慮した、的確な予防や治療が受けられるでしょう。
「かかりつけ歯科医をもとう」を参考にして、通いやすく信頼できる歯科医院を「かかりつけ歯科医」に決め、定期的に受診するようにしましょう。

和泉 雄一 先生

監修者 和泉 雄一 先生 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 歯周病学分野 教授)
1979年東京医科歯科大学歯学部卒業、83年同大学院歯学研究科修了(歯学博士)。87年ジュネーブ大学医学部歯学科講師、92年鹿児島大学歯学部歯科保存学講座2助教授、99年同教授を経て、2007年東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授(歯周病学分野)。08年東京医科歯科大学歯学部附属病院病院長補佐、14年より東京医科歯科大学副理事、日本歯周病学会理事長。日本の歯周病学・歯周治療学の第一人者。特に、歯周病と全身との関わり、歯周組織再生治療、歯科レーザー治療を専門としており、多数の難治症例を手掛けている。