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歯周病の治療後こそ、定期的な通院で歯の喪失を防ごう

歯周病の治療後こそ、定期的な通院で歯の喪失を防ごう

歯周病の治療が終わったあとも、定期的に歯科医院で検査やケアを受けた人と、そうでなかった人では、通院した人のほうが歯の喪失本数が少ないことがわかっています。歯周治療後もメインテナンスを欠かさないようにし、歯の喪失を防ぎましょう。

再発しやすい歯周病は、治療後のメインテナンスも重要

歯周病の治療が終わったあと、安心して歯科医院から足が遠のいている人はいませんか?
歯周病は再発しやすいことで知られています。歯周治療を受けたあとは、歯周病菌が減少し、口腔内はよい状態になっていますが、この状態を維持するためには治療後も定期的に通院してメインテナンスを受けることが欠かせません。

メインテナンスは、歯周治療により治癒した歯周組織を長期間維持するための健康管理で、セルフケアとプロフェッショナルケアからなります。中等度から重度の歯周病では歯周外科治療が行われることが多いですが、十分な治癒を得られることが難しく、どうしても不十分な治癒の部位が残ってしまいます。そこで、十分に治癒していない部位を悪化させない治療が必要です。これは、「サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)」と呼ばれています。

SPTの重要性については、これまでに多くの報告がなされています。たとえば、「歯周外科治療後SPTを行わないと約1mm/年の付着の喪失が起こる」(Nyman et al. 1977)、「SPTを行わないと、歯の喪失リスクが高まる」(Becker et al. 1984)、「不定期なメインテナンスは、歯の喪失リスクが高まる」(Eickholtz et al. 2008)などといわれています。

歯周病の再発チェックや、プロによる清掃などが行われる

歯周治療後のメインテナンスでは、主に次のようなことが行われます。

  • 口腔内の状態のチェック
    歯磨きがきちんとできているかどうかを確認したり、歯ぐきや歯周ポケットの状態を見て歯周病が再発していないかどうかを確認します。歯周治療後は、歯と歯の間があくことが多いため、磨き残しがあれば再度、ブラッシングを指導します。
  • 必要に応じ、プラークや歯石の除去
    歯周ポケットが深くなっていたり、出血が見られたりするときは、歯周病菌が増加していると思われます。
    「スケーリング」(歯冠部や歯周ポケット内のプラークや歯石を取り除く治療)や、「ルートプレーニング」(歯周病菌由来の歯根部セメント質に入り込んだ毒素を除去し、歯肉が再び付着しやすいように歯根表面をなめらかにする治療)などを行います。
  • かみ合わせのチェック
    歯周治療後は、患者さんの歯を支えている歯槽骨が減少していることが多くなります。そのため、かみ合わせに問題があると歯槽骨に負担がかかるため、かみ合わせを慎重に確認します。
  • 義歯や修復物などの状態の確認
    治療済みの歯の義歯や修復物が壊れていたり、すき間があいていたりすると、プラークがつきやすくなります。問題がないか確認し、必要に応じ作り直すようにします。

日々セルフケアを続けながら定期的に歯科医院へ通おう

メインテナンスには、上記のようなプロフェッショナルケアのほか、患者さんのセルフケアに対する指導およびその動機づけが含まれます。
定期的に通っているからといって油断せず、きちんとしたセルフケアで歯周病の予防に努めましょう。
メインテナンスを受ける間隔は、患者さんの状態によって変わってきます。歯科医師とよく話し合い、それにしたがって通院するようにしましょう。

和泉 雄一 先生

監修者 和泉 雄一 先生 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 歯周病学分野 教授)
1979年東京医科歯科大学歯学部卒業、83年同大学院歯学研究科修了(歯学博士)。87年ジュネーブ大学医学部歯学科講師、92年鹿児島大学歯学部歯科保存学講座2助教授、99年同教授を経て、2007年東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授(歯周病学分野)。08年東京医科歯科大学歯学部附属病院病院長補佐、14年より東京医科歯科大学副理事、日本歯周病学会理事長。日本の歯周病学・歯周治療学の第一人者。特に、歯周病と全身との関わり、歯周組織再生治療、歯科レーザー治療を専門としており、多数の難治症例を手掛けている。