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お口のセルフケアにキシリトールも活用しよう

お口のセルフケアにキシリトールも活用しよう

 キシリトールはむし歯予防に効果的といわれ、ガムやタブレットなどに用いられています。甘味料であるキシリトールにどのようなむし歯予防効果があるのか、効果的な用い方や製品の選び方などを紹介します。

甘味料のキシリトールにむし歯予防効果

 キシリトールは自然界に存在する糖アルコールの1種で、多くの果物や野菜に含まれ、人の肝臓でもつくられます。砂糖と同じくらいの甘みがありながら、カロリーは砂糖の4分の3程度と少なめで、甘味料として世界中で使われています。
 現在ガムなどの製品に用いられるキシリトールは、トウモロコシの穂軸や樺の木のパルプなどに含まれる成分(キシランという多糖類)から工業的につくられています。日本では1997年に食品添加物として認可されました。

 1970年代以降、キシリトールのむし歯予防効果が国内外の多くの長期的臨床研究によって明らかにされ、キシリトールは「歯によい甘味料」としてガムやタブレット、歯磨き剤など数多くの製品に配合され出回っています。

むし歯菌の数を減らし、唾液の分泌を促す

キシリトールには、次のようなむし歯予防効果があることがわかっています。

  • むし歯の原因にならない
    むし歯菌の一つであるミュータンス菌は糖を分解して酸を作り出し、口の中が酸性になると歯のエナメル質の表面が溶け出します。しかしミュータンス菌はキシリトールを分解できず酸は発生しません。つまり糖はミュータンス菌の栄養になることでむし歯の原因となりますが、キシリトールは栄養にならないので、むし歯の原因にはならないのです。
    さらに、キシリトールはほかの糖分の分解も妨げるため、ミュータンス菌が栄養不足となり、活動が弱まったり数が減って、プラーク(歯垢)がむし歯のできにくい細菌叢(そう)に変わります。
  • 唾液の分泌を促す
    キシリトールの甘みが味覚を刺激して唾液の分泌を促します。すると酸性に傾いた口の中が唾液によって中和され、溶けかかった歯の表面が元の状態に戻っていきます(再石灰化)。キシリトールガムなら、噛むことによっても唾液分泌が促されます。

あくまでむし歯予防の基本を守ったうえで、キシリトールの活用も

 キシリトールにはむし歯予防効果があるといっても、キシリトールだけでむし歯を防ぐことはできません。むし歯予防の基本は、あくまで毎日の歯磨きと規則正しい食生活、そして定期的な歯科検診です。これらをきちんと行ったうえで、毎日のセルフケアにキシリトールをとり入れるのがよいでしょう。

 むし歯予防効果を期待するなら、キシリトールガムやタブレットはキシリトールの含有率50%以上でノンシュガーのものを選んでください。ガムは食後30分以内に、10~20分くらい味がなくなるまで噛みましょう。噛み始めに出た唾液はすぐに飲み込まず5分くらいそのまま噛み続けると、キシリトールが口の中に長く留まり効果が高まるといわれています。

和泉 雄一 先生

監修者 和泉 雄一 先生 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 歯周病学分野 教授)
1979年東京医科歯科大学歯学部卒業、83年同大学院歯学研究科修了(歯学博士)。87年ジュネーブ大学医学部歯学科講師、92年鹿児島大学歯学部歯科保存学講座2助教授、99年同教授を経て、2007年東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授(歯周病学分野)。08年東京医科歯科大学歯学部附属病院病院長補佐、14年より東京医科歯科大学副理事、日本歯周病学会理事長。日本の歯周病学・歯周治療学の第一人者。特に、歯周病と全身との関わり、歯周組織再生治療、歯科レーザー治療を専門としており、多数の難治症例を手掛けている。