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介護リスクを高めるオーラルフレイルを防ぎ、早めに見つけよう

介護リスクを高めるオーラルフレイルを防ぎ、早めに見つけよう

加齢とともに、噛んだり飲み込んだりする力(咀嚼能力)は弱くなりますが、そのままにしていると、食べることや話すことに支障が出る「オーラルフレイル」という状態に。要介護のリスクが高まったり、命にかかわる事態の引き金にもなりかねません。オーラルフレイルを予防し、早めに気づいて生活習慣を見直すことと、食べ物を噛み切れない、噛むと歯や歯ぐきが痛い場合は早めに歯科医院を受診することが大切です。

うまく食べられない、滑舌が悪い、はオーラルフレイルかも

オーラルフレイルは、「口腔(オーラル)の衰弱(フレイル)」という意味で、口まわりの筋力の衰えや歯の喪失などから、よく噛めない食品が増えたり、むせたり、食べこぼしてうまく食べられなくなったり、さらには滑舌(かつぜつ)が悪くなってうまく話せなくなるのが特徴です。

オーラルフレイルは食欲不振や低栄養を招くほか、友人・親戚との食事や外食を避ける傾向も出てきます。すると、自宅でいつも同じものを食べ続け、人と会うことや話すことが減って社会的にも「衰弱」していきます。このような生活ではふさぎ込みがちになり、「うつ」をはじめメンタルの不調にも陥りかねません。オーラルフレイルの影響は口の周辺にとどまらず、精神面も含めて全身に及ぶおそれがあるのです。

わが国で、要介護者を除いた65歳以上の高齢者約2,000名を対象に、オーラルフレイルが及ぼす影響について調査した研究があります。それによると、①噛む力が弱い、②舌を巧みに動かせない、②舌の力が弱い、③かたい食品が食べにくい、④むせやすい、⑥残っている歯が20本未満 のうち3項目以上当てはまる人は16%いました。そして約4年間の追跡期間中、3項目以上当てはまる人はそうでない人よりも、身体的フレイル(要介護の前段階といえる虚弱状態)のリスクが2.4倍高く、死亡リスクは2.06倍高くなっていました。

* Tanaka T, Iijima K, et al. Oral Frailty as a Risk Factor for Physical Frailty and Mortality in Community-Dwelling Elderly. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2017 (in press)

佐瀬 聡良 先生

監修者 佐瀬 聡良 先生 (佐瀬歯科医院 院長) 1984年日本大学松戸歯学部卒業。89年千葉県千葉市に佐瀬歯科医院を開院し、現職。2004年より日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医局員も兼務。「臨床家のための実践ペリオセミナー」「歯科衛生士のための実践ペリオセミナー」講師なども務める。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医、米国歯周病学会会員。