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歯を失ったままにせず、ブリッジや入れ歯などで補いましょう

歯を失ったままにせず、ブリッジや入れ歯などで補いましょう

むし歯や歯周病が進み、歯を失った場合、そのままにしていると、単によく噛めなくなるだけではなく、歯並びが乱れ、噛み合わせが悪くなり、さらには全身の病気のリスクも高めることになります。歯を失ったら、それを補うためのクラウンやブリッジ、入れ歯などの補綴(ほてつ)治療を早めに受けることが重要です。

歯を失った影響は口の中にとどまらず、認知症や転倒のリスクなどと関連

歯を失ったままにしておくと、空いたスペースに隣りの歯が倒れ、歯が少しずつズレて歯並びが悪くなったり、噛みあっていた反対側の歯が伸びてきて、噛み合わせも悪くなってきます。

歯がズレてできた段差や、歯と歯の間のすき間は歯ブラシの毛先が届きにくくなり、むし歯や歯周病の原因になりがちです。また、1本でも歯をなくすと、その分、残ったほかの歯への負担が増大し、別の歯の喪失リスクが高まります。さらに、噛むときには、歯のないところを避けて噛むようになるため、噛み方が不自然になって顎関節症など、顎のトラブルにもつながりかねません。

このほか、歯を失ったままの影響は、口の中にとどまらず全身の病気にも及ぶと考えられるようになってきました。歯を失った(歯が少ない)人は、「認知症のリスクが高まる。ただし、義歯を使えばリスク低下」「転倒リスクが高まる」(4月配信記事参照)、「死亡リスクが上がる」「太もも付け根(大腿骨頸部)の骨折リスクが上がる」(以上、名古屋大学)といった調査結果が公表されているのです。

こうした口の中を中心にしたさまざまなトラブルや病気を引き起こさないように、歯を失った箇所に早めに、新たな「歯」を補う必要があるわけです。

歯根が残っていればクラウン、両脇の歯がしっかりしていればブリッジも

歯を失ったといっても、歯ぐきから口の中に出ている部分(歯冠)がなくなっただけで、歯ぐきの中に根の部分(歯根)が残っているときは、「クラウン」による治療が可能です。歯の神経(歯髄)まで侵食されていれば、神経をとって治療したうえで、残っている歯根に金属などの芯を差し込んで、まず土台をつくります。その上に金属やセラミックスでつくった人工の歯冠をかぶせます。神経にとくに異常がなければ、むし歯部分を削り取って、その上に直接、人工の歯冠をかぶせます。

歯根を含めて歯を1~2本失った場合、その両脇の歯がしっかりしていれば、両脇の歯を支えとして、橋のように人工の歯を架ける「ブリッジ」による治療を受けられます。このとき、両脇の歯の歯冠の一部を削ったうえで、削った部分をカバーする冠と、歯のない箇所の人工歯とをつなげブリッジをつくり、両脇の歯にセメントで接着します。両脇の歯が歯根しかない場合は、土台を製作してからブリッジをつくることになります。

佐瀬 聡良 先生

監修者 佐瀬 聡良 先生 (佐瀬歯科医院 院長) 1984年日本大学松戸歯学部卒業。89年千葉県千葉市に佐瀬歯科医院を開院し、現職。2004年より日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医局員も兼務。「臨床家のための実践ペリオセミナー」「歯科衛生士のための実践ペリオセミナー」講師なども務める。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医、米国歯周病学会会員。