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清涼飲料水やイオン飲料のとり過ぎで、ペットボトル症候群・かっけに!?

清涼飲料水やイオン飲料のとり過ぎで、ペットボトル症候群・かっけに!?

血糖値が上がり、酸性物質のケトン体がたまる「清涼飲料水ケトーシス」

こまめに水分をとる習慣は、熱中症対策のみならず、健康づくりや病気の予防に重要です。ただし、甘い清涼飲料水を大量に飲んだ場合、「ペットボトル症候群」が起こって逆効果になることもあります。

糖分をとると、小腸から吸収・分解されてブドウ糖となって血液中に入り、血糖値が上がります。これに反応して、すい臓から、インスリンというホルモンが分泌され、血液中のブドウ糖を体内の各組織に取り込んでエネルギーに変えていきます。その結果、いったん増えた血液中のブドウ糖は減って血糖値が下がります。これが通常の状態です。

これに対して、糖分を含む清涼飲料水を毎日数リットルなど大量に飲むことを繰り返していると、すい臓が疲弊してインスリンの働きが低下。体内に取り込めなかったブドウ糖が血液中にあふれ、血糖値が上がったままになってしまいます。一方、糖分からのエネルギーを確保できなくなった体は、エネルギーを確保するために、糖分の代替として脂肪を分解するようになります。この脂肪が分解されるときにできる副産物が酸性物質であるケトン体であり、血液中にケトン体が多くなった状態はケトーシス(高ケトン血症)と呼ばれます。

糖尿病の人や高血糖を指摘されている人などが、糖分を含む清涼飲料水を大量摂取したときに起こるこのような状態が「清涼飲料水(ソフトドリンク)ケトーシス」、いわゆるペットボトル症候群です。

「急激に悪化した糖尿病」で意識がもうろうとして、命にかかわる場合も

ペットボトル症候群は、インスリンの機能低下が一気に進む、いわば「急激に悪化した糖尿病」です。ペットボトル症候群を発症して初めて糖尿病が発覚したケースもあるようです。

症状としては尿量の増加、口の渇き、水を飲む量の増加のほか、倦怠感(けんたいかん)や精神的なイライラ感を訴える場合があります。重症化すると、血液が酸性化するケトアシドーシスと呼ばれる状態に至り、脳への酸素供給が滞って意識がもうろうとし、全身の機能低下から昏睡状態、さらには死に至る恐れもあるのです。

冷たくて甘い清涼飲料水は“がぶ飲み”しがちですが、少量を楽しむ程度にし、水分補給は、規則正しい食事と、糖分を含まない水やお茶(できれば麦茶などカフェインを含まないもの)で行うことが望まれます。熱中症対策のスポーツ飲料も、市販のものを薄めて使うか、甘さを控えて自分でつくったものを利用しましょう。もちろん、今は高血糖でない人も、清涼飲料水の飲み過ぎは肥満や高血糖につながるので、注意が必要です。

食事の進まない子どものイオン飲料の飲み過ぎは「ビタミンB1欠乏症」に

また、乳幼児の水分補給によいとされている「イオン飲料」も、糖分を多く含みます。体内で糖分をエネルギーには変えるにはビタミンB1が必要となるため、イオン飲料を日常的に飲ませていると、体内のビタミンB1が大量に消費されて欠乏症を招く恐れがあります。ビタミンB1は豚肉に多く含まれており、食事で適切にとれていれば欠乏の危険は少ないとされていますが、離乳食があまり進まない、食が細い子どもなどには注意が必要です。

主なビタミンB1欠乏症には、手足のしびれやむくみのほか、歩きづらい、一人で座っていられないといった「かっけ」、眼球が動かなくなったり細かく眼がふるえたりする、歩行が不安定、意識障害が起こるといった「ウェルニッケ脳症」があり、放置すると命にかかわることもあります。

日本小児科学会などの4団体からなる日本小児医療保健協議会(四者協)では、昨年(2017年)、7カ月~2歳11カ月児のイオン飲料の飲み過ぎによるビタミンB1欠乏症について報告をしています。それによると、2016年までの10年間で24人、31年間で33人が発症、そのうちの1人は亡くなっていました。

イオン飲料は、熱中症のほか、発熱や下痢などに伴う脱水状態のときには効果的です。一時的に使用するにとどめ、日常的に与えないように注意しましょう。