熱中症で救急搬送される人が増加! 屋内でも要注意

まだ体が暑さに慣れていない時期。低い気温でも熱中症が起きやすい

先月(2015年5月)から、例年以上に暑い日が続きました。

環境省では、熱中症が発症しやすい環境のめやすである「暑さ指数*」の予測値・実測値の発表を始めていますが、それによると、5月の主要6都市を平均した1日の最高暑さ指数が、過去5年間の平均を大きく上回った期間がありました。5月末の一週間に熱中症で救急搬送された人の数は、約1200名にものぼっています。

本格的な暑さが来る前のこの時期は、体が暑さに慣れていないため、真夏よりも低い温度でも熱中症が発生しやすくなると指摘されています。環境省の「熱中症予防情報サイト」などで暑さ指数の予測値も確認し、十分な熱中症対策をとることが必要です。


*暑さ指数(WBGT値)…熱中症予防のためにアメリカで提案された、気温、湿度、輻射(ふくしゃ)熱から算出される暑さの指数。「厳重警戒」レベルの28度を超えると熱中症患者が著しく増加することがわかっており、日常生活においては25度以上28度未満でも「警戒」レベルとされている。

 

重症度分類を知っておき、早期認識・早期治療につなげよう

また先月、日本救急医学会が、熱中症の診断や治療などの指針となる「熱中症診療ガイドライン2015」をまとめ、公開しました。

このガイドラインでは、これまでの重症度分類を簡略化し、一般の人にもわかりやすくしたものがまとめられています。この分類を知っておき、熱中症に早く気づいて応急処置や早期治療につなげられるようにしましょう。


【熱中症の重症度とケア】
・1度(応急処置と見守り)

→症状が徐々に改善している場合のみ、現場の応急処置と見守りでよい。
症状: めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、筋肉痛、こむら返りなど
治療: 涼しい場所で安静にし、体を冷やし、水分とナトリウム(食塩)を補給


・2度(医療機関へ)

→2度の症状や、1度でも改善が見られない場合は、すぐに病院へ搬送。
症状: 頭痛、嘔吐(おうと)、倦怠(けんたい)感、虚脱感、集中力や判断力の低下
治療: 医療機関へ受診。体温管理や安静、経口か点滴での水分とナトリウムの補給


・3度(入院)

→3度かどうかは救急隊員や病院到着後の診察・検査によって診断。
症状: 意識障害やけいれん発作、肝・腎機能障害、血液凝固異常など
治療: 入院して治療。体温管理、呼吸・循環管理など
(「日本救急医学会熱中症分類2015」より編集部にて作成)

 

水分・塩分補給と温度や湿度の調節を。高齢者は特に注意

熱中症の予防や治療には、暑さを避けることと、こまめな水分補給が欠かせません。しかし、熱中症は体内から水分とともにナトリウムが失われることで起こるため、ガイドラインでは、0.1%から0.2%の食塩水を飲むことを推奨しています。

市販のものでは経口補水液が最適で、スポーツドリンクでも予防になりますが、塩分量が少なく糖分が多いことに注意が必要です。梅こんぶ茶やみそ汁なども、熱中症の予防には有効とされています。

さらに、ガイドラインでは、スポーツや労働による熱中症は、屋外での発症頻度が高く、重症例は少ないと報告されています。一方、高齢者では日常生活の中で起こりやすく、特に屋内での発症頻度が増加。高齢者は暑さへの感受性が低下していることなどに加え、精神疾患や高血圧、糖尿病、認知症などの病気がある人が多く、重症化しやすいと考えられています。実際、5月末の1週間に救急搬送され入院となった重症の患者さんのうち、約半数が65歳以上の高齢者でした。

一人暮らしの高齢者で発見が遅れるケースも多いため、近所や離れた家族に高齢者がいる場合は、できるだけ声かけをしたり、連絡をとったりしてようすを確認しましょう。