韓国で猛威をふるうMERS。うがい・手洗いで予防を

中東地域を中心に25カ国で1300人近くが感染

先月(2015年5月)から、韓国において、MERS(マーズ、Middle East Respiratory Syndrome:中東呼吸器症候群)の感染が拡大しています。

MERSは「MERSコロナウイルス」を原因とする感染症で、2012年にサウジアラビアで最初に確認されました。2003年に流行したSARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)の病原体もコロナウイルスの仲間ですが、この2つは異なる病気です。

WHO(世界保健機関)によると、6月16日現在、MERSは世界25カ国で1293人の感染者が報告されており、458人が死亡しているとのこと。韓国では、主に院内感染によって急速に感染が広がり、6月17日現在、死者20人、感染者162人にのぼっています。 

WHOは16日に専門家による緊急委員会を開き、MERSへの対応を協議しましたが、エボラ熱のような「国際的な懸念となる公衆衛生上の緊急事態」には当たらないと発表。一方で、「各国ではMERSを含め、感染症の流行に常に備えているべき」との警告を示しました。

厚生労働省では今月より、中東地域に加え、韓国からの入国者や帰国者の検疫体制を強化しています。

 

発熱や咳、息切れなどが主症状。高齢者や持病のある人は重症化傾向

MERSに感染した場合、2週間ほどの間に発熱や咳、息切れなどが出ることがほとんどで、下痢など消化器の症状を伴う人もいます。

感染しても症状が出ないか、軽症で済む人がいる一方、高齢者や持病(糖尿病や慢性の肺疾患、免疫不全などの基礎疾患)のある人では、肺炎を起こして呼吸困難に陥り、命にかかわる恐れがあります。そのため、高齢者や持病のある人が、中東地域や韓国などMERSの流行地域への旅行を計画する際には、事前にかかりつけの医師と渡航の是非について相談するようにしましょう。

渡航前の現地の流行状況については、国立感染症研究所ホームページ厚生労働省検疫所ホームページで確認することができます。

 

治療薬やワクチンはまだない。一般的な感染症予防策をしっかりと

MERSは、中東地域の野生のコウモリやヒトコブラクダが感染源の1つとして疑われており、感染した人や動物からの飛沫感染(咳やくしゃみなどのしぶきを吸い込むことによる感染)または接触感染によって感染すると考えられています。

6月17日現在、まだ日本国内ではMERSの発生が報告されておらず、国内のラクダからもウイルスは検出されていませんが、今後発生する可能性がないとはいいきれません。

季節性インフルエンザほど感染力は強くないものの、治療薬やワクチンはまだないため、日ごろからうがいや手洗いを徹底し、発症と感染拡大を予防することが重要です。

また、流行地域に渡航する際は、それらの対策に加え、咳やくしゃみなどの症状がある人や動物との接触をできるだけ避けましょう。

なお、すでに渡航した人で、帰国後14日以内に上記のようなMERSが疑われる症状が出た場合は、直接医療機関には行かず、事前に最寄りの保健所に連絡してください。症状がある間は、咳エチケット(マスクを着用する、咳やくしゃみの際はティッシュペーパーで口や鼻を覆ってほかの人から顔をそむける、使用したティッシュペーパーはごみ箱に捨てる、手を洗う)を徹底し、可能なかぎりほかの人との接触を避けるようにしましょう。