日本人のがん「10年生存率」初公表

全国規模の「10年生存率」調査は初めて

国立がん研究センターは1月、日本人のがん「10年生存率」を公表しました。これは国立がん研究センターの研究班が「全国がんセンター協議会」(全がん協)の協力を得て調査集計したもの。1999〜2002年に全がん協加盟の16施設でがんと診断されて治療を受けた約3万5千人を対象に、10年間追跡調査を行いました。


がんの「生存率」とは、がんと診断されてから一定期間後に生きている確率のことで、治療の効果を示す目安とされます。がんは診断から5年経過しても再発しなければ「治癒した」と判断されることが多いため、通常5年生存率が用いられており、10年生存率が全国規模で調査されたのは初めてということです。ここではがん以外の原因で死亡する影響が補正された相対生存率が用いられています。


調査の結果、がん全体の「10年生存率」は58.2%で、同じデータから算出した5年生存率の63.1%に比べて約5ポイント低いものの、大きな差とまではいえません。

一方、がんの部位別に10年生存率と5年生存率とを比べると、5年目以降は部位によって差が出てくることがわかりました。たとえば胃がんや大腸がんはほぼ変わらず、5年目以降はほとんど再発しないとみられます。それに対して、肝臓がんや乳がんは5年目以降も生存率が下がる傾向がみられ、長期に経過観察を行って再発をチェックする必要があるといえるでしょう。

 

治療の進歩により、生存率のさらなる改善に期待

今回の調査では、2004年から2007年に診断治療を行った約14万7千人を対象とする部位別施設別5年生存率も新たに集計されました。それ以前のデータと比較すると、5年生存率は全がんで1997年の62.0%から2007年の68.9%へと6.9ポイントも改善され、これはがん治療などの進歩によるものと推測されます。

今回公表された10年生存率は10数年前にがんと診断された方のデータですから、5年生存率と同様、現在治療を受けている方の生存率はさらに改善されているとみられます。


さて2012年から公開されている生存率解析システム「KapWeb」では、がん種や病期(進行度)、年齢、性別、治療法などいろいろな条件の組み合わせで生存率をみることができます。患者さんの治療法選択の参考情報として、また現在再発に注意が必要な時期なのかどうかなどの見通しを得るうえで役立つでしょう。

ただし、数値を見て不安が増してしまう人もいるかもしれません。全がん協では、あくまでデータはたくさんのがん患者さんの平均的な数字であって、一人ひとりの患者さんの余命を示すものではないことなどを理解したうえで見てほしいとしています。