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「山の日」制定! 登山の前には十分な準備と体力に合った計画を

心筋梗塞や脳梗塞の発症確率がわかるリスクチェックがWebに公開

昨年の山岳遭難者は3000人超で過去最多に

今年(2016年)から、8月11日が新たな国民の祝日「山の日」に制定されました。山岳を有する各地では、登山関連のツアーやイベントが多数企画されており、盛り上がりを見せています。

一方で、警察庁が今年6月に発表した「平成27年における山岳遭難の概況」によると、山岳遭難の件数と遭難者の数は増え続けています。昨年(2015年)発生した山岳遭難は2,508件と、前年よりも215件増加。遭難者は3,045人で、そのうち死者・行方不明者は335人となっており、発生件数、遭難者、死者・行方不明者の全てにおいて、統計の残る1961年以降で最も高い数値となっています。

十分な装備、余裕をもった安全な登山計画と、的確な情報判断が大切

同概況では、「山岳遭難の多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・体力の不足等が原因で発生している」とし、登山にあたって次のような点に留意することを呼びかけています。

  • ●登山計画の作成、提出:
    気象条件、体力、体調、登山の経験等に見合った山を選択し、登山コース、日程、十分な装備、食料等に配意して、余裕のある、安全な登山計画を立てる。
    単独登山はできるだけ避け、信頼できるリーダーを中心とした複数人による登山に努める。
    また、作成した登山計画書は、家庭や職場、登山口の登山届ポストなどに提出しておく。
  • ●危険箇所の把握:
    計画を立てるとき、滑落等の危険箇所を事前によく調べる。
  • ●的確な状況判断:
    視界不良・体調不良時等には、道迷い、滑落等の恐れがあることから、状況を的確に判断して早めに登山を中止するよう努める。
  • ●道迷い防止:
    地図、コンパス等を有効に活用して、常に自分の位置を確認するよう心がける。
  • ●滑落・転落防止:
    滑りにくい登山靴、ストック等の装備を有効に使用するとともに、気を緩めることなく常に慎重な行動を心がける。

また、通信手段の使用状況を見ると、約77%のケースで遭難現場から携帯電話や無線で救助を要請しており、特に携帯電話による救助要請は年々増加しています。そのため、同概況では「通話エリア内での万が一の通話手段として有効であるものの、多くの山岳では通話エリアが限られることやバッテリーの残量」にも注意喚起しています。

遭難者の半数が60歳以上。自分の体力をあらかじめ把握し、安全に楽しもう

さらに、山岳遭難者を年齢層別に見てみると、全遭難者の約78%が40歳以上であり、全遭難者の半数が60歳以上と報告されています。また、全死者・行方不明者の約70%が60歳以上と、高齢者が多いことがわかります。

長野県の山岳遭難防止対策協会および同山岳総合センターでは、体力不足による遭難事故が増えていることから、「マイペース登高能力テスト」(鹿屋体育大学の山本正嘉教授考案)による登山に耐える体力のセルフチェックを勧めています。県内でこのテストを活用した講座を行っているほか、県内遭難者の約4割が首都圏の登山者であるため、神奈川県での開催も計画し、首都圏への普及に努めています。

このテストは、きつさを感じる手前のスピードで単調な登りを歩き、1時間に登った標高差によって、自分の体力的なリスクや適した登山ルートを知るもの。登山を予定している人は、下記を参考に、自分で確認してみるとよいでしょう。

●長野県山岳総合センター「『マイペース登高能力テスト』について」(PDF)