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若い世代に増え続ける「梅毒」。症状なく経過し、合併症を引き起こす恐れ

若い世代に増え続ける「梅毒」。症状なく経過し、合併症を引き起こす恐れ

患者数はすでに昨年の1.5倍以上! 異性間の性的接触で増加中

「梅毒(ばいどく)」は、2011年以降、日本で毎年患者数が増え続けている性感染症です。女性よりも男性のほうが多いものの、男女ともに増え続けており、女性は20歳代、男性は20歳代~40歳代の報告が多くなっています。

国立感染症研究所によると、2016年は11月27日までの約11カ月の累積患者数が4,077人となり、すでに昨年1年間(2,660人)の1.5倍もの人が梅毒にかかっているとのことです。

梅毒は、「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因で、感染者の粘膜や皮膚と直接接触することでうつります。性器と性器だけでなく、性器と肛門の接触、性器と口の接触でも感染します。過去には同性間の性的接触での感染が多くなっていましたが、近年は異性間の性的接触による感染が増えています。

初期の治療開始が肝心。妊婦の感染は早産や死産、胎児異常の危険も

梅毒に感染した場合の標準的な経過は、以下のとおりです。

①感染後約3週間:感染した部位(陰部や口の内外、肛門など)にしこりができたり、鼠径部(そけいぶ、股の付け根の部分)のリンパ節が腫れたりします。感染の可能性がある場合には、この時期の検査が勧められます。症状や痛みがないことも多いので、不安がある場合は早めに検査を受けましょう。

②感染後数カ月:手のひらや足の裏、体全体に、小さなバラの花のような赤い発疹(バラ疹)がうっすらと出ることがあります。治療しなくても数週間以内に消える場合があります。

②の時期に適切な治療を受けずに数年経つと、皮膚や骨、筋肉などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生することがあります。最近では比較的早期から治療を始めるケースが多く、そこまで進行することはほとんどありませんが、心臓や血管、脳など複数の臓器に障害が起こり、場合によっては死に至ることを覚えておきましょう。

また、妊娠中の女性が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染する恐れがあり、大変危険です。日本産婦人科医会の「妊娠中の梅毒感染症に関する実態調査結果の報告」によると、妊婦さん305,652人中76人が梅毒に感染しており、若い人ほど感染率が高くなっていました。さらに、そのうちの26%の妊婦さんに、早産や周産期の胎児・新生児死亡、胎児の重篤な異常などが起こっていました(2015年10月~2016年3月末までの分娩施設での調査による)。

早期検査、早期治療と確実な予防が大切

予防のためには、コンドームを適切に使用することが勧められますが、コンドームで覆われていない部分からも感染する可能性があり、100%防げるわけではありません。皮膚や粘膜に異常がみられた場合は、性的接触を控えて早めに医療機関や保健所などで検査を受けましょう。

保健所では、匿名かつ無料で検査できることがほとんどですが、自治体が限られるので、全国HIV/エイズ・性感染症検査・相談窓口情報サイト「HIV検査相談マップ」で調べてみましょう。感染がわかった場合は必ずパートナーにも検査を受けるよう勧めてください。

妊娠中の女性は特に、性感染症予防はもちろん、早期から必ず妊婦健康診査を受けることが大切です。