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温泉は安全に利用し、メタボ予防にも役立てよう

温泉は安全に利用し、メタボ予防にも役立てよう

温泉利用や飲泉は、高血圧や脂質異常症、高血糖などの改善も期待できる

近年、特に外国人観光客が増えていることで注目を集めている温泉。年末年始を温泉地でゆっくりと過ごした人も多いことでしょう。

温泉には、温熱作用以外にも泉質ごとにさまざまな健康効果があるとして、日本では古くから湯治や温泉療法が行われてきました。その効能の科学的根拠やメカニズムなどについては、まだ研究が積み重ねられている段階ですが、近年、温泉のメタボ(メタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群)予防効果を示唆する研究結果がいくつか発表されました。

65歳以上の別府市民2万人を対象とした、温泉利用と病気の関連に関する調査
厚生労働科学研究のひとつとして、2012~14年に九州大学病院別府病院が中心となって行った研究。高齢者における高血圧や脂質異常症、うつ病、気管支ぜんそく、慢性肝炎の予防効果と、動脈硬化の進行抑制効果、慢性の痛みや新機能の改善効果などの可能性が示唆された。

健康な成人24人を対象とした、飲泉(温泉水飲用)の効果についての解析
2016年に慶應義塾大学先端生命科学研究所などが行った研究。大分県竹田市の長湯温泉の水(炭酸水素塩水)と水道水とを1週間ごとに引用し、血液検査や便検査による腸内フローラ(腸内細菌叢)の解析を行った。その結果、温泉水の飲用期間には、血糖値を反映する血中グリコアルブミン値の減少や、肥満防止につながる腸内細菌の増加がみられた。

温泉は、ルールを守って安全に楽しもう

温泉でリフレッシュしながら、メタボ予防・改善ができれば一石二鳥といえますが、安心して温泉を利用するためには、気をつけておきたいことがあります。

環境省は、最新の医学的知見などをふまえて、2014年に「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」を定めています。同基準を一般の人向けに解説したパンフレット「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」から、温泉利用の際の注意点を一部抜粋して以下にまとめました。

  • 食事の直前、直後、飲酒後の入浴は控える
  • 高齢者、子ども、体の不自由な人の一人きりでの入浴は避ける
  • 入浴前後の水分補給を忘れずに
  • 過度の疲労時や運動後30分間は入浴を控える
  • 入浴前には手足から始めて全身にかけ湯をし、体を洗ってから入る
  • 入浴温度により異なるが、1回当たり、初めは3~10分程度とする。
    慣れてきたら15~20分程度まで延長してもよい
  • 高齢者や高血圧、心臓病、脳卒中の経験のある人は42度以上の高温浴は避ける
  • 心肺機能の弱った人は、半身浴や部分浴が望ましい
  • 体についた温泉成分は洗い流さず、タオルで拭き取る
  • 浴槽にタオルを入れない

なお、飲泉ができるのは「飲泉場」などと表示されている、飲泉の許可を受けた場所にかぎられます。また、安全・衛生のために新鮮な温泉を清潔なコップで飲むことと、1日あたりおよそ500mlまでにすることを守りましょう。特定の病気や病態の人は、泉質によって飲んでよい量が制限されているので、飲泉場に設置されている掲示に記載された飲用量や注意事項を確認しましょう。

温泉に入ったり、飲んだりするとかえって悪影響がある人も

また、温泉は健康効果が高い反面、病気の活動期(特に熱のあるとき)の人や、重い心臓や病気・腎臓の病気がある人などにとっては有害となる恐れがあります。

前述のパンフレットでは、そのような「禁忌症(一回の温泉入浴または飲用でも有害事象を生ずる危険性がある病気・病態)」についても解説されています。特に治療中の人や、健康に不安がある人は、温泉利用の前に読んでおきましょう。