文字サイズ

転移で発見される「原発不明がん」。自覚症状や健康診断で見つかる場合も

転移で発見される「原発不明がん」。自覚症状や健康診断で見つかる場合も

転移した病巣だけが大きくなったがん。がんの1~5%を占めるとされている

先月(2018年10月)下旬、60代前半の女優が「原発不明がん」により亡くなったことが報じられました。

「肺がん」「乳がん」といった多くのがんは、がんが最初に発生した部位(原発部位)が明らかながんです。一方、原発巣から離れたところで大きくなったがん(転移巣)が見つかって、がんと診断されたものの、原発部位がみつからないがんもあります。それを原発不明がんといい、成人固形がんの1~5%ほど存在するとされています。がんのできた部位や、がんの特徴などがさまざまなため、患者さんごとに病気の状態が異なります。

リンパ節のしこりや、胸・腹の痛みや息苦しさ、骨の痛みなどが現れることがある

原発不明がんでは、がんのある部位にもよりますが、次のような症状が現れるとされています。

  • リンパ節の腫れ(首のまわりやわきの下、太ももの付け根)などの痛くないしこり
  • 胸水や腹水がたまることによる息苦しさ、腹部膨満感など
  • 肺腫瘍による咳や胸の痛み、声のかすれなど
  • 肝腫瘍による上腹部の不快感や、膨満感など
  • 骨の痛みやしびれ、まひなど

これらの症状からがんが疑われると、病理検査などによって確定診断されます。さらに、症状や体の診察、家族の病気歴などを手がかりに、原発部位を予想しながらさまざまな検査を行います。

進行抑制や緩和が目的の治療が行われるが、治る患者さんや経過が良好な患者さんも

原発不明がんは、すでにがんが進行して転移している状態であり、初期に行われるような、がんを手術で完全に取り除くような治療よりも、病気の進行を遅らせることや痛みなどのつらい症状を和らげることを目的とした治療を行うことが多くなります。

しかし、検査などでもっとも可能性の高い原発部位がわかった場合は、その部位の治療法に基づいた治療が行われることになります。また、症状がない場合などは無治療で経過観察することもあります。

治癒が可能な患者さんや、治療後の経過が良好な患者さんも15~20%いるため、医師がそのような患者さんを確実に見つけることが重要とされています。また、原発不明がんと診断される割合が次第に減少しつつあることも報告されているので、今後さらに減少することや、原発不明がんに対する知見の蓄積が期待されます。

原発不明がんは、前述の症状のほか、健康診断で見つかる場合もあるので、自分自身の体の状態に気を配り、毎年きちんと健康診断を受けることが大切です。