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年間2,000人以上の命を奪う結核。2週間以上せきが続く場合は要注意

年間2,000人以上の命を奪う結核。2週間以上せきが続く場合は要注意

毎年新たに1万7,000人が発症! 院内感染・施設内感染などが多発

過去の病気と思われがちな「結核」ですが、今年(2018年)も医療機関内や施設内での感染が相次ぎ、高齢者を中心に死亡者も出ています。

厚生労働省「平成29年結核登録者情報調査年報集計結果(概況)」によると、昨年は約1万7,000人の新たな結核患者が発生し、約2,300人が亡くなっています。ここ数年、罹患率(1年間に国内で患者さんが発生した割合)は減少傾向にあるものの、患者さんの28%が80歳代、11%が90歳代と、免疫力の低下した高齢者の発症が多くなっています。

そこで、厚生労働省では、わが国の結核罹患率低下のために高齢者への対策を強化することを決定。今年4月、80歳以上の定期健康診断受診対象者に結核検診の受診勧奨を行うなどして早期発見を図るよう、各自治体に通知しています。

症状はかぜに似ているが、2週間以上続く場合は結核の恐れあり

結核は、結核菌による感染症で、発症すると肺や腎臓、リンパ節、骨、脳などにさまざまな炎症が起こりますが、約8割が「肺結核」です。肺結核では、初期には発熱(微熱)、せき、痰(たん)など、かぜに似た症状が起こりますが、かぜよりも長く続きます。重症化すると、だるさや息切れ、血痰(血の混じった痰)が出て、血を吐いてしまったり呼吸困難が起こったりして、命にかかわることがあります。

結核の感染経路は空気感染で、患者さんのせきや痰とともに空気中に吐き出された結核菌を、ほかの人が吸い込むことで感染します。ただし、感染しても必ずしも発症するわけではなく、発症していなければ他人にうつすこともありません。

結核菌に感染してから2年くらいの間に発症することが多いとされていますが、感染してから数年~数10年後に発症することもあります。免疫力が弱まっていると発症しやすいと考えられているため、特に高齢者や、過労・栄養不足の人、他の病気で体力が低下している人などは要注意です。

子どもは感染しやすく重症化しやすいため、生後1歳に至るまでの間にBCGワクチンの定期接種が行われています。ただし、BCGの結核予防効果は10~10数年のため、BCGワクチンを打っていても成人になってから発症する場合もあります。

予防には定期健康診断受診が大切。結核と診断されたら、きちんと治療を

結核は、重症化を防ぐためにも、周囲に感染を拡大させないためにも、早期に発見して適切な治療を行うことが重要です。2週間以上せきや痰が続くようであれば、早めに受診しましょう。その際には、結核予防会の医療機関を調べる(参考用外部リンク参照)か、自治体の保健所に問い合わせて、結核診療が可能な医療機関を受診するとよいでしょう。

また、自覚症状がなくても、定期健康診断で年に1回は胸部X線検査を受けて、肺に異常がないかチェックすることが大切です。特に80歳以上の人は、自治体の結核検診を受けるよう、周囲の人からも勧めましょう。

結核と診断された場合は、3~4種類の薬を6カ月間ほど服用する治療を行います。結核菌をたくさん排出していてほかの人にうつす危険性が高い場合は、2カ月程度の入院が必要となることもありますが、そうでなければ通院治療が可能です。

なお、症状がおさまったからといって、薬の服用をやめてしまうと、薬の効かない「耐性菌」ができてしまう可能性があります。自己判断で中断したりせず、医師の指示にしたがって、きちんと服用を続けましょう。