CKD(慢性腎臓病)って何?
CKD(慢性腎臓病)は、慢性的にたんぱく尿が出たり、腎機能が低下している状態の総称です。CKDが重症化すると、人工透析や腎移植が必要になったり、合併症により命を失う恐れもあります。しかし、自覚症状がないまま進んでいくため、発症していることに気づいていない人も多く、わが国では、成人のおよそ8人に1人がCKDといわれています。当コーナーでは全6回にわたり、CKDについて詳しく解説します。正しい知識をもち、あなたの腎臓をCKDから守りましょう。
腎機能が低下すると、血液中の老廃物や余分な水分・塩分を排泄できなくなる
CKD(Chronic Kidney Disease、慢性腎臓病)とは、一つの病気の名前ではなく、腎臓に障害が起こって、腎臓の働きが低下している状態の総称です。
腎臓は、腰の上方に左右一つずつある臓器で、大動脈から流れ込んできた血液をろ過して、老廃物や余分な水分・塩分を取り除き、尿として体外に排泄する役割をしています。そのため、腎機能が低下すると、尿を十分に作れなくなり、老廃物や余分な水分・塩分が体内にたまっていってしまいます(腎臓のしくみについては、5月配信予定の第2回で詳しく解説します)。しかし、CKDは、かなり進行するまで自覚症状がありません。むくみやだるさ、食欲不振、吐き気などの症状が出た段階では、腎機能が著しく低下していることが多いのです。
そして、腎機能がそのレベルまで低下してしまうと、もとに戻すことは難しく、人工透析や腎移植などが必要となってしまいます。また、心不全や脳卒中のリスクが高まり、命にかかわることもある、怖い病気です。厚生労働省や関連学会では、「2028年までに、年間新規透析導入患者数を35,000人以下に減少させる(2016年は約39,000人)」ことを目標とし、CKD対策に取り組んでいます。
生活習慣病やメタボがある人は特に危険。腎機能を定期的にチェック
CKDは、慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)のような腎臓自体の病気によって起こるだけでなく、糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、加齢によっても起こります。
近年、CKDの原因のなかで糖尿病や高血圧の占める割合が増え続けています。なかでも、糖尿病による「糖尿病性腎症」は、新規人工透析患者の原因疾患の約4割を占めていることがわかっています(日本透析学会「わが国の慢性透析療法の現況(2017年12月31日現在)」による)。
また、脂質異常症や高尿酸血症、喫煙などもCKDの危険因子です。メタボ(メタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群)やその予備群の人は、注意が必要です。
前述のとおり、CKDは初期には自覚症状が乏しいため、発症予防や重症化予防が重要となります。すでに生活習慣病やメタボの人は、それらの治療や改善に取り組み、定期的に欠かさず腎機能の検査をチェックしましょう。また、生活習慣病やメタボの指摘を受けたことのない人も、特定健診などの健診を毎年欠かさず受診しましょう。
なお、協会けんぽ(全国健康保険協会)東京支部では、腎臓の機能低下が疑われる方に対し、受診勧奨のお知らせをお送りしています。詳しくは、東京支部のホームページの「慢性腎臓病(CKD)予防対策を行っています」をご参照ください。
当コーナーでは、今号を含めてこれから全6回にわたり、CKDとその対策について詳しく解説していきます。あなたの腎臓を守るために、よく読んで理解し、CKDの予防に努めましょう。