CKDを見つけるための検査って?
CKD(慢性腎臓病)は、症状に気づいたころにはかなり進行している病気です。早期に発見して治療につなげるためには、尿検査・血液検査で異常を早めに見つける必要があります。年に1回は必ず健康診断を受けるようにし、また健康診断で「検尿・腎機能に問題がある」と指摘されたら、必ず健診結果の指示にしたがって、放置しないようにしましょう。
CKDは、かなり進行しないと自覚症状に現れない!
CKDは、初期には自覚症状なく進んでいく病気です。進行すると現れる症状には、むくみやだるさ、吐き気などがありますが、症状に気づいたころには、腎機能は通常の1/5程度まで低下していることがほとんどです。そのような段階になると、透析療法や腎移植が必要な末期腎不全に進むリスクや、脳卒中や心臓病のリスク、命を落とすリスクが高まります。
CKDを早期発見し、軽いうちに治療を始めるには、特定健康診査などの健康診断や、医療機関の検査などで、早めに異常を見つけることが重要です。CKDは、次のように診断されます。
【CKDの診断基準】
以下の①②のどちらか片方、または両方が3カ月以上続く
①尿検査や血液検査、画像診断などで腎障害の存在が明らか
②GFR(eGFR)が60 (mL/分/1.73m2) 未満
尿検査では「尿たんぱく」、血液検査では「クレアチニン」でCKDを調べる
腎臓は通常、たんぱくや赤血球などの体に必要なものを漏らさないように血液をろ過して、過剰な塩分や水分、老廃物を尿に排泄しています。しかし、CKDになると、その機能が低下してしまいます(「肝“腎”な臓器、腎臓のしくみ」l参照)。そのため、体に必要なたんぱくが尿に漏れ出たり、ろ過されて排泄されるはずの「クレアチニン」という代謝物が血液中にたまったりします。
そこで、健診ではまず、尿検査の「尿たんぱく」をチェックします。また、医師が必要と判断した場合*は、血液検査で「血清クレアチニン値」を調べます。この血清クレアチニン値をもとに、性別や年齡を考慮した計算式で算出した「推算糸球体ろ過量(eGFR)」が、腎臓の働きの程度を表す指標として診断に使われます。
特定健診においては、尿たんぱくが「-」でeGFRが60(mL/分/1.73m2)以上なら心配いりませんが、尿たんぱくが「±」の場合や、「-」でもeGFRが45~60(mL/分/1.73m2)の場合は、生活習慣の改善が必要と判定されます。また、尿たんぱくが「+」~「+++」(陽性)の場合あるいはeGFRが45(mL/分/1.73m2)未満の場合は、すぐに医療機関の受診が必要と判定されます。
*特定健康診査においては、血圧や血糖が一定の基準に該当した場合、医師の判断に基づき検査します。
高血糖や高血圧のある人は特に健康診断で早期発見を
前回(「メタボや肥満のある人は特にCKDに注意! すぐに生活習慣の改善を」)解説したとおり、CKDの発症や悪化には、不適切な生活習慣や高血圧症、糖尿病などが深くかかわっています。
生活習慣病を指摘されたことのある人はもちろんですが、そうでない人も、必ず年1回は健康診断を受けるようにしましょう。糖尿病や高血圧症と診断されたときには、すでにCKDも併発していたという人も少なくありません。
なお、糖尿病が原因で起こる「糖尿病性腎症」を早期発見するには、尿たんぱくが陽性になる前に尿に漏れ出る「アルブミン」というたんぱくのチェックが重要となります。糖尿病の人は、医療機関で「尿アルブミン」の検査も受けるようにしましょう(糖尿病性腎症については、9月配信予定の当コーナー第6回で詳しく解説します。)。
協会けんぽ(全国健康保険協会)東京支部では、腎臓の機能低下が疑われる方に対し、受診勧奨のお知らせをお送りしています。詳しくは、東京支部のホームページの「慢性腎臓病(CKD)予防対策を行っています」をご参照ください。