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CKDが進行すると、透析療法や腎移植に……

CKDが進行すると、透析療法や腎移植に……

 CKD(慢性腎臓病)は、初期には症状なく進んでいきますが、早めに見つけて生活改善や食事療法、薬物療法などに取り組めば、腎機能の低下を食い止められる可能性があります。しかし、重症化して末期腎不全になってしまうと、腎臓の働きを代行する人工透析(透析療法)や、ほかの人の腎臓を移植する腎移植といった、「腎代替療法」が必要になります。

CKDのステージ(病期)は腎臓の働きの程度によって5つに分かれる

前回記事(「CKDを見つけるための検査って?」)で、CKDの診断では腎臓の働きの程度を表す「GFR(糸球体ろ過値、通常血清クレアチニン値をもとに推算したeGFRが使われる)」が使われることを紹介しました。CKDの進行度は、GFRの数値によって、大きくG1~G5までの5つのステージ(病期)に分かれています。

なお、CKDは同じステージであっても、原因となった病気やたんぱく尿の程度によって進行や合併症が異なるため、重症度はそれらも含めて判断されます。
とくに糖尿病が原因で起こる糖尿病性腎症の場合は、進行が速いため積極的な管理・治療が必要となります。

徐々に腎機能が低下して症状が出始め、G5では腎臓がほとんど働かない状態に

前述のステージG1~G4までは、医師の指示にしたがって適切な生活改善や食事療法、薬物療法などを行えば、CKDの進行を抑えられる可能性があります。しかし、G4あたりから貧血による息切れなどの症状が出始め、G5に達すると疲れやすさや食欲不振などのさまざまな症状で日常生活に支障が出るほか、心臓病などの合併症のリスクも高まってきます。

そしてG5が進行した段階は、腎臓がほとんど働かない「末期腎不全」の状態になるので、食事療法や薬物療法では尿毒症の症状を抑えることができず、患者さんの命を守るためには「腎代替療法」が必要となります。腎代替療法には、透析療法と腎移植があります。

●透析療法
腎臓の代わりに、人工的な手段によって、血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、体液の状態の調整などを行うものです。命を維持し、体の状態を適切に保つことができますが、一生涯続けることが必要です。日本では、腎代替療法が必要となったほとんどの人が透析療法を選んでおり、2017年には約4万人の人が新たに治療を開始しています。

  • 血液透析(HD)
    患者さんの血液をポンプで体外に出し、機械で浄化して再び体内に戻すものです。1回につき4時間かかり、週に3回行う必要があります。
  • 腹膜透析(CAPD、APD)
    患者さんのおなかにカテーテルを留置し、透析液を4~5時間貯めては交換し、腹膜を透析膜にして血液を浄化するものです。家庭や職場で透析が行え、通院も2週間~1カ月に1回程度で済みます。ただし、腹膜に負担がかかるために5~8年ほどが限度とされており、その後は血液透析に移行することとなります。

●腎移植
患者さんの腎臓の代わりに、健康な人から提供された腎臓を移植するものです。免疫抑制薬を飲み続ける必要がありますが、根本的治療法であり、健康な人と変わらない程度まで腎臓の働きが回復します。ただし、移植の条件に合った腎臓の提供者(ドナー)が必要となるなど、さまざまな制約があるため、日本では実施件数が少ないという実状があります。

末期腎不全になった患者さんは、主治医と相談しながら、原因となった腎臓病の種類や仕事・生活環境などを考慮して、一番適した腎代替療法を選ぶことになります。ただしいずれの療法にも一長一短があり、生活の質(QOL)も損なわれますので、まずは何より末期腎不全に進行させないことが一番重要です。自分自身の腎臓と命を守り、QOLを維持するためには、CKDの予防と早期発見、重症化抑制が大切です。

協会けんぽ(全国健康保険協会)東京支部では、腎臓の機能低下が疑われる方に対し、受診勧奨のお知らせをお送りしています。詳しくは、東京支部のホームページの「慢性腎臓病(CKD)予防対策を行っています」をご参照ください。

岡田浩一 先生

監修者 岡田浩一 先生 (埼玉医科大学腎臓内科教授)
1987年慶應義塾大学医学部卒業、91年慶應義塾大学医学部内科腎臓・内分泌・代謝科助手、93年米国ペンシルバニア大学内科腎・電解質部門留学、96年埼玉医科大学腎臓内科専任講師、2004年埼玉医科大学腎臓内科助教授、07年同大学腎臓内科准教授などを経て、13年より埼玉医科大学腎臓内科・総合診療内科(兼担)教授。