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透析導入の原因第1位! 糖尿病性腎症とは

透析導入の原因第1位! 糖尿病性腎症とは

 CKD(慢性腎臓病)のうち、糖尿病が原因で起こるのが糖尿病性腎症です。血糖値が高くなってから10年以上経過した人に起こりやすく、いったん発症すると進行が早いことがわかっています。糖尿病の自覚がないまま糖尿病性腎症になっている人も多く、健診で「たんぱく尿」として現れる前に「微量アルブミン尿」の時点で見つけることが大切です。

1年間に16,500人近い患者さんが、糖尿病性腎症により人工透析に

前回(「CKDが進行すると、透析療法や腎移植に……」)、CKDが進んで腎臓がほとんど働かなくなると、人工透析や腎移植などが必要になることを解説しました。

わが国で2017年の1年間に透析導入(新規に人工透析を開始)した患者さんは、約39,000人となっています。そして透析に至った原因疾患をみると、原因の第1位(42.5%)が、糖尿病が原因で起こる「糖尿病性腎症」です。実に16,500人近くの患者さんが、糖尿病性腎症により人工透析を開始しているのです(日本透析学会「わが国の慢性透析療法の現況(2017年12月31日現在)」による)。

糖尿病性腎症は、進行すると感染症や心臓病・脳卒中のリスクも高い

糖尿病性腎症は、血糖値が高くなってから10年以上経過した人に起こる合併症で、2型糖尿病の患者さんの約4割が発症するとされています。糖尿病、あるいは高血糖と診断されている人はもちろん要注意ですが、糖尿病がわかったときにはすでに糖尿病性腎症も発症している、という人も少なくありません。

血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が高いという異常な状態が続くと、全身の血管が徐々に障害されていきます。毛細血管の塊であり、腎臓内で血液のろ過を担っている「糸球体(しきゅうたい、「肝“腎”な臓器、腎臓のしくみ」参照)」は、その影響を早くから受けやすく、次第に壊れていってしまうのです。そうなると、まるで“ふるい”の目が壊れたようになり、血液中のたんぱく質のうち、小さなたんぱく質であるアルブミンが少しずつ漏れ出るようになっていきます。

ただし、健康診断などの通常の尿検査ではかなり大量のアルブミンが漏れ出さないと「たんぱく尿」として見つからないため、知らない間に糖尿病性腎症が進行していることが多くなります。そのため、糖尿病の人は、かかりつけ医などのもとで「尿アルブミン」を定期的にチェックしてもらう必要があります。

尿アルブミンを検査すると、ごく少量が漏れ出している段階でも、「微量アルブミン尿」として見つかります。

予防のためには、血糖値・血圧のコントロールと並行して生活習慣改善を

糖尿病の人はもちろん、メタボリックシンドロームの人、血糖値が高めの人は、特に次のような点に注意して糖尿病性腎症を予防しましょう。

●尿検査や血液検査を定期的に受ける
糖尿病の人は、医師の指示のもと定期的に尿アルブミンの検査を。それ以外の人も、健診などの際には尿たんぱくと血糖値、eGFRをチェックし(「CKDを見つけるための検査って?」参照)、「要再検査」「要受診」といった結果が出た場合には、その指示に従いましょう。

●血糖値や血圧をコントロールする
糖尿病の人は、まずはきちんと治療しましょう。医師の指示に従って食事に注意し、血糖値を下げるお薬を飲みましょう。また、CKDには高血圧も深くかかわっているので、血圧のコントロールも欠かせません。家庭でも血圧を計る習慣をもちましょう。

●生活習慣を改善する
メタボや肥満のある人は特にCKDに注意! すぐに生活習慣の改善を」を参考に、栄養バランスのととのった食事、運動不足解消、禁煙、適正飲酒を心がけましょう。

協会けんぽ(全国健康保険協会)東京支部では、腎臓の機能低下が疑われる方に対し、受診勧奨のお知らせをお送りしています。詳しくは、東京支部のホームページの「慢性腎臓病(CKD)予防対策を行っています」をご参照ください。

岡田浩一 先生

監修者 岡田浩一 先生 (埼玉医科大学腎臓内科教授)
1987年慶應義塾大学医学部卒業、91年慶應義塾大学医学部内科腎臓・内分泌・代謝科助手、93年米国ペンシルバニア大学内科腎・電解質部門留学、96年埼玉医科大学腎臓内科専任講師、2004年埼玉医科大学腎臓内科助教授、07年同大学腎臓内科准教授などを経て、13年より埼玉医科大学腎臓内科・総合診療内科(兼担)教授。