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血圧測定にドキドキは禁物!

血圧測定にドキドキは禁物!

40歳を迎える、主婦の協子さん。初めての特定健康診査(メタボ健診)が始まり、最初の検査項目である身体計測が終わりました。協子さんが次に呼ばれたのは、血圧測定の部屋です。

心を落ち着かせて、血圧測定へ

身体計測では、昔に比べると少し増えてしまった体重と腹囲にがっかりした協子さんですが、今度は血圧測定。ご飯をつくるときはいつも塩分に気をつけていますし、若いころは低血圧ぎみだったので心配はなさそうですが、果たして……。

「こちらに座ってください。まずはゆっくり深呼吸して、リラックスしてくださいね」

部屋に入ると、ベテラン風の看護師さんが、にっこりと協子さんに笑いかけてくれます。

『病院の診察なんかでは、先生の顔を見ると緊張して血圧が上がってしまうことがよくあるって聞くけど、その気持ちわかるわぁ。何か悪いことを言われたらどうしよう、って思うとドキドキするもの。でも、今日は優しそうな人だから安心!』

「では、血圧を測りますので、腕を出してください」

協子さんがテーブルの上に右腕を出すと、看護師さんは手際よく二の腕(上腕)にカフを巻きつけて空気を送り込み、血圧を測定しました。

「血圧は上(収縮期血圧)が126mmHgで、下が(拡張期血圧)が81mmHgです」

『あら? 昔は上が120を超えることなんてなかったのに。いやだわ、年のせいかしら』

協子さんの血圧は正常範囲内でしたが、自信があっただけに今回の数値は意外でした。

『自分で気がつかないうちに、だんだん血圧が高くなっているのは怖いわね』

協子さんは家でも血圧を測れるように、心の中で家庭用血圧計を購入することを検討しつつ、次の検査へ向かいました。

特定健診の高血圧の判定値はどれくらい?

血圧とは心臓から送り出された血液が、血管の壁を内側から押す圧力のことです。高血圧症は、血圧が高い状態が続く生活習慣病です。放置すると心臓病や脳卒中、腎臓病などの命にかかわる重大な病気を招くリスクが高くなります。

特定健診で高血圧と判定される数値は、次のとおりです。

収縮期血圧   拡張期血圧 判定
130mmHg以上 または   85mmHg以上 生活習慣改善の必要があります(特定保健指導対象となる値)
140mmHg以上 または   90mmHg以上 受診勧奨の対象者になります
(厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム・改訂版」より作成)

今回の協子さんの血圧の数値は「126/81mmHg」なので、正常な血圧の範囲内です。しかし、特定保健指導の対象となる数値に近づいているので、生活習慣の改善を心がける必要がありそうです。

 

津下 一代 先生

監修者 津下 一代 先生 (あいち健康の森健康科学総合センター センター長兼 あいち介護予防支援センター センター長)
昭和58年名古屋大学医学部医学科卒業後、国立名古屋病院内科(内分泌代謝科)、名古屋大学第一内科での臨床・研究活動を経て、平成4年愛知県総合保健センターに勤務。12年あいち健康の森健康科学総合センター、22年より同あいち介護予防支援センター センター長兼務、23年より現職。
厚生労働省における「健康日本21」、「健診・保健指導プログラム」の各委員会や日本健康会議に携わる。