大人も気をつけたい、子どもの夏の感染症
冬のかぜと異なる「夏かぜ」が流行
毎年夏になると未就学児童を中心に流行するのが、手足口病やヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)などのいわゆる「夏かぜ」です。特に、今年(2015年)7月には、手足口病が過去10年で2番目に大きな流行となりました。
冬のかぜは、寒くて乾燥した空気を好むウイルスによって起こりますが、夏のかぜは主に高温多湿を好むウイルスによるもので、さまざまな特徴があります。
- 手足口病
手のひらや足の裏、口の中などに、小さな水疱(すいほう=水ぶくれ)や赤い発疹(ほっしん)ができます。
熱は出る場合と出ない場合があり、出ても38度前後。口の中の水疱によって食事が取りにくいことがあります。 - ヘルパンギーナ
突然39度ほどの高熱が出て、のどに水疱ができるのが特徴です。
高熱とのどの痛みにより、食欲が落ちることがあります。熱が数日で下がるのと同時に、水疱がつぶれて潰瘍(かいよう)となります。 - 咽頭結膜熱(プール熱)
まず発熱し、咽頭炎の症状(のどの痛みや腫れなど)と結膜炎の症状(目の充血や目やになど)が現れます。頭痛や吐き気、腹痛・下痢が起こることもあります。
プールでの感染が多いことから「プール熱」とも呼ばれています
症状に応じたケアをし、脱水症に注意
これらの夏かぜには、抗菌薬(抗生物質)は効かないため、症状を和らげる治療と家庭でのケアが大切となります。
熱が高かったり、のどや口の中に痛みがあると、子どもによっては食事をとれないだけでなく飲み物も飲みたがらないことがありますが、こまめな水分補給が大切です。
食事は、熱いものや硬いもの、すっぱいものなど、のどにしみるようなものは避け、スープやおかゆ、豆腐、ゼリーなど、水分が多く軟らかいものを与えましょう。
熱があるときは、リンパの集まる、わきの下やもものつけ根などを冷やしてあげると気持ちよいでしょう。なお、むやみに解熱鎮痛薬(解熱剤)を使ってしまうと、下げた熱が急激に上がったときに体力を消耗することもあります。解熱鎮痛薬は医師の指示にしたがって、38度5分以上あり、元気がない、寝られないなどの場合に使うようにしましょう。
いずれも数日から1週間程度でよくなることがほとんどですが、まれに髄膜炎などの合併症を起こすことがあります。また、脱水症を起こしやすい時季なので、ぐったりとして呼びかけに反応しないときや、呼吸が速く息苦しそうなとき、頭痛や嘔吐(おうと)を伴う発熱が3日以上続く場合は、すぐに受診してください。
家庭内で大人にも感染する。特にオムツの処理後は十分な手洗いを
家庭で子どもが発症すると、水疱の内容物や便、せきなどから、きょうだいや大人にも感染することがあります。手洗い・うがいを徹底し、家族でタオルを共用することは避けましょう。
特に、これらの病気では、症状がおさまったあとも数週間、便にウイルスが排出されます。子どものオムツは適切に処理し、十分な手洗いを心がけましょう。