子どもや高齢者の医薬品の誤飲事故を防ごう
高齢者では医薬品の包装シートの誤飲が多い
子どもや高齢者の誤飲・誤食事故が相次いで報告され、消費者庁は注意を呼びかけています。誤飲とは、食物以外の物を誤って飲み込むことをいい、3歳未満の乳幼児や認知症の高齢者などに多く見られます。
先月(2015年9月)の消費者庁発表によると、近年65歳以上の高齢者の誤飲・誤食事故の情報が医療機関などから数多く寄せられています。なかでも医薬品の包装シートを飲み込む事故が最も多くなっています。
医薬品の包装シートは現在プラスチックにアルミなどを貼り合わせたPTP包装シートが主流で、飲み込むとのどや食道、胃、腸などを傷つけたり、穴を開けたりして重大な傷害につながる恐れがあります。実際、PTP包装シートを誤飲した人の1割近くは入院治療が必要でした。事故に気づいたら、直ちに医療機関を受診してください。
以前は、PTP包装シートは縦横にミシン目が入って1錠分ずつ切り離せるようになっていました。しかし誤飲事故が頻発したため、1996年以降はミシン目を縦または横のみにして1錠分ずつに切り離せないようになっています。それでも本人や家族がハサミで1錠分ずつに切り分けてしまって事故につながっているということです。
高齢者は視覚や味覚などの衰えや判断力の低下、認知症などで誤飲・誤食を起こしやすくなっていると考えられます。家族はそのことをしっかり認識し、日頃から次のことなどに注意を払いましょう。
- 医薬品の包装シートは1錠分ずつに切り離さない(1回分ずつの薬を薬局で1袋にまとめてくれる「一包化」を活用するとよい)
- 医薬品を食品と一緒に保管しない
子どもの医薬品誤飲事故も増加傾向に
消費者庁にはまた、6歳未満の子どもによる医薬品の誤飲事故情報も数多く寄せられています(2014年12月発表)。誤飲した医薬品は錠剤やシロップ剤などの内服薬が約9割を占めますが、塗り薬などの外用薬を口に入れてしまった例もありました。年齢別では1~2歳の子どもによる誤飲が8割近くを占めています。
赤ちゃんは5カ月くらいで物をつかめるようになり、なんでも口に入れようとします。1歳ごろからは自分で包装を開けて薬を取り出すこともできるようになり、大人の真似をして誤飲することもあるので注意が必要です。
家族に処方された大人用の薬の誤飲が目立ち、家族が服用したあとしまい忘れた薬を誤飲する例が見られます。特に精神疾患に使用される向精神薬や血糖降下薬、気管支拡張薬、降圧薬などは重大な健康被害を及ぼす恐れがあります。
消費者安全調査委員会の調査では、子どもが医薬品を誤飲する可能性があることを知らない保護者が多いことがわかりました。まず家族は誤飲事故の可能性を知って、次の点に注意しましょう。
- 薬は子どもの手の届かない、見えないところにしまい、さらにカギをかけたり取り出しにくい容器に入れる
- 薬の服用後はすぐに安全な場所にしまう
- リスクの高い薬は特に厳重に管理する
万が一誤飲事故が起こってしまった場合、子どもの状態や誤飲した薬の名前、飲んだ量を確認して次のような専門機関に相談し、必要に応じて医療機関を受診してください。
- ● 公益財団法人日本中毒情報センター 中毒110番
大 阪:072-727-2499(24時間対応)
つくば:029-852-9999(9~21時対応) - ● 小児救急電話相談 #8000番
(住まいのある都道府県の相談窓口に自動転送される)
対応時間は都道府県により異なるため、上記にて確認を。