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今日から「+10(プラス・テン)」を始めよう

今日から「+10(プラス・テン)」を始めよう

 健康のためには運動したほうがよいとわかっていても、なかなかできない――そんな人におすすめなのが、「+10(プラス・テン)」です。 その方法は、「10分多く体を動かす」ことを意識するだけ。複雑なやり方を覚える必要も、グッズを揃える必要もありません。自宅で、職場で、通勤中に……いつでも、どこでもできる健康習慣です。

運動習慣のある人の割合は、30歳代ではわずか13%!

 あなたは日常生活の中で、どのくらい体を動かしていますか?
 わが国で運動習慣のある人(1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している人)の割合は、男性33.8%、女性27.2%。
 ところが、年齢ごとに見てみると、働き盛りの30歳から39歳では男性13.1%、女性12.9%。なんと、10人に1人程度しか運動習慣をもっていないという結果に(厚生労働省「平成25年国民健康・栄養調査結果の概要」による)。
 仕事が忙しく、また、プライベートでも結婚や子育てなど、ライフスタイルが大きく変化する年齢ですから、確かに「1回30分以上の運動を週2回以上」というのは難しいでしょう。時間を作って運動しようと決めたものの、続かなかった人も多いのではないでしょうか。
 しかし、1回10分だとするとどうでしょう? 「運動らしい運動」でなくてもかまいません。今よりこまめに動いたり、早歩きを心がけたりするだけでもよいのです。ちなみに、この10分はまとまっている必要はありません。5分を2回でも、1分を10回でもいいのです。
 日々の生活の中で、できる時に今より「10分多く」元気に体を動かす。これが、「+10(プラス・テン)」です。

「+10(プラス・テン)」はいいことずくめ!

 「+10(プラス・テン)」は、厚生労働省が「健康日本21(第2次)」に基づき、国民の皆さんに「運動によって健康増進を実現」してもらうために作ったガイドラインです。
 毎日続けることで次のような効果があり、健康寿命※1の延伸につながることが示唆されています。

  • 頭重、頭痛、不眠
  • 死亡のリスクが2.8%低下
  • 生活習慣病の発症が3.6%低下
  • がんの発症が3.2%低下
  • ロコモ※2・認知症の発症が8.8%低下

 さらに、1年間の継続で1kgから2kgの減量が期待できるとされており、ダイエット効果もあります。また、体を動かすことはストレスの解消につながるので、メンタルヘルス対策にも役立つでしょう。
 毎日少しずつでも、習慣として続けていけば、体にも心にも大きなメリットがあるのです。

※1 健康寿命:健康上の理由で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと
※2 ロコモ:「ロコモティブシンドローム」。骨や関節の病気、骨量の低下、バランス能力の低下によって転倒・骨折しやすくなることで、自立した生活ができなくなり介護が必要となる可能性が高い状態のこと

さぁ、「+10(プラス・テン)」を始めよう!

 

 次の図は、今のあなたが健康のための身体活動をどのくらいしているか、チェックできるチャートです。

 ①や②だった人は、生活の中でいつ「+10(プラス・テン)」ができるか、自分の1日を振り返り、今日からさっそく始めてみてください。

 目標は、18歳から64歳の人なら1日合計60分。65歳以上の人なら1日合計40分です。③や④の人は目標を達成できているので、「+10(プラス・テン)」を意識して、よりアクティブな生活にしたり、職場の仲間や家族を誘って一緒に楽しんだりしてみるとよいでしょう。

 なお、体を動かす時間は少しずつ増やしていくようにし、体調が悪いときは無理をしないようにしてください。

 病気や痛みがある人は、始める前に、医師や健康運動指導士などの専門家に相談しましょう 。


4月の「+10(プラス・テン)」

●あなたの1日の中で、いつ、どこで「+10(プラス・テン)」ができるか振り返ってみましょう。例:朝起きたとき、通勤中、職場で、お昼休み中、家事の合間、休日の買い物中など
●見つけたタイミングを逃さず、さっそく今日から10分多く体を動かしましょう。

宮地 元彦 先生

監修者 宮地 元彦 先生 (国立健康・栄養研究所 健康増進研究部部長)
1988年鹿屋体育大学体育スポーツ課程卒業、1990年鹿屋体育大学大学院修了。川崎医療短期大学助手、講師等を経て、1999年川崎医療福祉大学助教授、同年米コロラド大学客員研究員。2001年国立健康・栄養研究所身体活動調査研究室長、2011年より現職。厚生労働省の『エクササイズガイド』や『健康日本21(第2次)』の策定などに関わる。