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きびきびと動くだけで、「+10(プラス・テン)」な生活に変わる

きびきびと動くだけで、「+10(プラス・テン)」な生活に変わる

 1日の中で今より「10分多く」体を動かそうという「+10(プラス・テン)」。実は、この考え方は、運動する機会がもてない人にこそ取り入れてもらいたいもの。日常生活の中で、なるべく歩数を増やしたり、歩き方を変えたり、家事の合間にできるだけ体を動かしたりと少しずつ工夫して、「+10(プラス・テン)」を実現していきましょう。

目標は「1日合計60分」体を動かすこと

 前回(4月)の記事では、「+10(プラス・テン)」の第1歩として、日常生活の中で体を動かす機会や環境を見つけることをおすすめしました(「今日から『+10(プラス・テン)』を始めよう」)。
 体を動かす時間としては、18歳から64歳の人であれば「1日合計60分」、65歳以上の人であれば「1日合計40分」が目標ですが、それを達成できるくらいの活動時間は見つかったでしょうか?
 朝少し早起きする、仕事の休憩中に軽く体操をする、テレビを見ながら筋トレやストレッチをする、夜にウオーキングをするなど、運動の機会を新たに取り入れた人は、無理のない範囲で続けていきましょう。
 運動をする時間がとれない人や、運動に苦手意識がある人は、普段の行動を少し変えるだけで「+10(プラス・テン)」につながります。今月は、そのポイントを紹介します。

生活活動の強度を上げて、エネルギー消費量アップ!

 人間が体を動かすことのすべてを「身体活動」といい、これには「運動」と「生活活動」の2つがあります。
 生活活動とは、日常生活を営むうえで必要な、労働や家事に伴う活動のこと。肉体労働や、通勤中・勤務中に歩くことはもちろん、洗濯や掃除などの家事、買い物や犬の散歩、子どもと遊ぶこと、階段の昇り降りなども生活活動にあてはまります。
 これらの生活活動を意識して一生懸命行ったり、できるだけ体を動かす活動に変えていったりする(=生活活動の強度を上げる)と、エネルギー消費量が増え、運動と同様に体力アップにつながります。  例えば、以下のような点に日々注意して生活すると、普段の行動が「+10(プラス・テン)」に変わっていきます。

  • 通勤時に駅までバスを使わず、自転車や徒歩にする。
  • エスカレーターやエレベーターを使わず、階段を使う。
  • 仕事中に、少し離れたコピー機やトイレを使う。
  • 職場の昼休みに、少し遠くの店まで歩いていって食事する。
  • 家事の合間に、こまめに立ったり動いたりする。
  • 車ではなく、徒歩や自転車で買い物に行く。
  • 子どもと体を動かす遊びをする。

など

毎日の歩き方を少し変えてみよう

 1日60分の身体活動を歩行にあてはめると、約8000歩になります。しかし、毎日8000歩歩くのは難しいとしても、歩き方を少し変えるだけで生活活動の強度を高めることができます。
 以下のような点を意識して、歩き方を変えてみましょう。

(1)下を向いて歩かない
 下を向かず、20mくらい前を見て歩きましょう。

(2)歩幅を広げて歩く
 これまでより5cmくらい先にかかとを付けて歩くようにしましょう。また、脚はかかとから地面に下ろし、つま先で蹴るようにして歩きましょう。

(3)腕を軽く振る
 腕を振ってテンポよく歩きましょう。

(4)今までよりも速く、でもきつくない程度に
 あなたがきついと感じない程度に速く歩くのが、最適な歩き方です。

5月の「+10(プラス・テン)」

●きびきびと動いたり、歩く時間を増やしたりして、生活の中に「+10(プラス・テン)」を取り入れましょう。
●歩くときは、前を向き、歩幅を広げ、腕を軽く振って、きつく感じない程度に速く歩きましょう。

宮地 元彦 先生

監修者 宮地 元彦 先生 (国立健康・栄養研究所 健康増進研究部部長)
1988年鹿屋体育大学体育スポーツ課程卒業、1990年鹿屋体育大学大学院修了。川崎医療短期大学助手、講師等を経て、1999年川崎医療福祉大学助教授、同年米コロラド大学客員研究員。2001年国立健康・栄養研究所身体活動調査研究室長、2011年より現職。厚生労働省の『エクササイズガイド』や『健康日本21(第2次)』の策定などに関わる。