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若いうちからのロコトレで、元気な足腰を保とう

若いうちからのロコトレで、元気な足腰を保とう

 ロコモ(ロコモティブシンドローム)にならない元気な足腰を保つには、普段から「ロコトレ」で鍛えておくことが大切です。ロコトレの基本の運動は、開眼片脚立ちとスクワットの2つだけ。簡単にできるので、「10分多く」体を動かす「+10(プラス・テン)」に、ぜひ取り入れましょう。

ロコモ予防には、適切な生活習慣と運動が重要

 ロコモ(ロコモティブシンドローム:運動器症候群)とは、骨や筋肉、関節などの運動器の機能が低下し、歩行や日常生活に支障が出ている状態のことです。わが国では、要支援・要介護となった原因の第1位が「運動器の障害」であり(厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査の概況」)、ロコモは新たな国民病の一つといえます。
 特に、運動の習慣がない人や日常の活動量が少ない人、肥満あるいはやせている人、偏食になりがちな人、痛みをがまんしている人、労働で体を酷使している人、睡眠・休養不足の人は、ロコモになりやすいとされています。膝や腰の痛みには、加齢だけでなく、生活習慣が強くかかわっているのです。
 年をとって骨量や筋肉量が低下する前に、太りすぎずやせすぎない適切な栄養をとりつつ、適度な運動で骨や筋肉に刺激を与えて、それらを強く丈夫に保つことが重要です。

1つでも当てはまればロコモの疑いあり! ロコチェックをやってみよう

 まずは、自分が今ロコモになっていないか、次の「ロコチェック」を使って調べてみましょう。

【7つのロコチェック】
片脚立ちで靴下がはけない
家の中でつまずいたり、滑ったりする
階段を上がるのに手すりが必要である
横断歩道を青信号で渡りきれない
15分くらい続けて歩けない
2kg程度(1Lの牛乳パック2個程度)の買い物をして持ち帰るのが困難である
家のやや重い仕事(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)が困難である

 これらはすべて、骨や関節、筋肉などの運動器が衰えているサインで、1つでも当てはまればロコモの心配があります。 特に、このチェックリストは50歳代以上の人を対象にしたものなので、30歳代・40歳代の人で当てはまった場合は要注意です。
 日本整形外科学会公認ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「ロコモ チャレンジ!」には、年代平均値に比べて現在の自分の運動機能がどれくらいかを確認できる「ロコモ度テスト」があるので、そちらもやってみるとよいでしょう。

ロコモを予防・改善するロコトレで「+10(プラス・テン)」

 では、上のロコチェックに当てはまった人は0を目指して、当てはまらなかった人もロコモ予防のために、「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」をやってみましょう。前回紹介したストレッチングと合わせて行うのがおすすめです。

ロコトレの基本は、「開眼片脚立ち」と「スクワット」のたった2つです。1セット数分でできる簡単な運動ですが、次の点に注意しながら行いましょう。

  • 動作中は息を止めないようにする
  • 膝に負担がかかり過ぎないように、膝は90度以上曲げないようにする
  • 太ももの前や後ろの筋肉にしっかり力が入っているか、意識しながらゆっくり行う
  • 支えが必要な人は、十分注意して、机に手をついて行う

【開眼片脚立ち】
バランス感覚のほか、脚の筋力がアップします。左右1分間ずつ、1日3回行いましょう。

【スクワット】
座る・立つ・歩くといった生活動作に必要な、下半身の筋力がアップします。深呼吸をするペースで5、6回繰り返して1セットとし、1日3セット行いましょう。

楽にできるようになったら、応用編をプラス!

 基本のロコトレが楽にできるようなら、次の運動をプラスして、「+10(プラス・テン)」を実現しましょう。

【カーフレイズ】
 ふくらはぎの筋力がアップします。10~20回(できる範囲で)を1セットとし、1日2~3セット行いましょう。

 自信のある人は、壁などに手をついて片脚だけでやってみましょう。

【フロントランジ】
 下半身の柔軟性、バランス能力、筋力がアップします。左右5~10回(できる範囲で)を1セットとし、1日2~3セット行いましょう。

7月の「+10(プラス・テン)」

●日常生活の中であまり体を動かしていない人や肥満の人は特に、ロコモ予備群かもしれません。「7つのロコチェック」で自分の状態を確認しましょう。
●「開眼片脚立ち」「スクワット」の2つのロコトレで、バランス能力や下半身の筋力、柔軟性を鍛えましょう。楽にできれば、「カーフレイズ」「フロントランジ」もプラスしましょう。

宮地 元彦 先生

監修者 宮地 元彦 先生 (国立健康・栄養研究所 健康増進研究部部長)
1988年鹿屋体育大学体育スポーツ課程卒業、1990年鹿屋体育大学大学院修了。川崎医療短期大学助手、講師等を経て、1999年川崎医療福祉大学助教授、同年米コロラド大学客員研究員。2001年国立健康・栄養研究所身体活動調査研究室長、2011年より現職。厚生労働省の『エクササイズガイド』や『健康日本21(第2次)』の策定などに関わる。