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第16回 藤本靖さん

第16回 藤本靖さん

住  吉
では、具体的にそのつながりを感じるようになるためのワーク、エクササイズのようなものを教えていただきたいと思います。
藤  本
先ほどおっしゃっていましたが、この季節、眠れないという方が多いと思うんですよね。寝ても朝起きたときにすっきりしない。このことに効果があるものをご紹介します。割り箸を使ったワークです。耳の穴のすぐ前にある、あごの関節を緩めるワークです。そのあごの筋肉の一番深いところにあるものは、口の中に指を入れないと触れられないんです。だから、そこが緊張しているということも普段気づいていないので、割り箸をくわえることでそこの筋肉の緊張に気づいて、結果勝手に緩む、ということを引き出すワークです。まず、割り箸の太い方を使うんですが、割り箸は割らずに、縦にして、太い方を一番奥に挟むだけです。噛むのではなく、ただくわえるだけです。そうすると、くわえた側のあごの関節が、逆側と比べて開いているのがわかると思います。あごの筋肉が緩んで広がっているんです。くわえたまま、一呼吸リラックスしたり、ゆっくり首を回してみたり。くわえた方のほっぺたもちょっと上がっています。特に、寝るときに横になった状態でこれをやると、首が非常にリラックスするので、背骨も休んで寝やすくなります。
住  吉
簡単ですね! しかも本当に一呼吸、二呼吸、数十秒だけやれば大丈夫なんですよね。これは筋骨格系に効いているんですか?
藤  本
はい。あごの筋肉が緩むことで、その奥にある、リラックスするための神経の通りが良くなります。
住  吉
それでは次にいきましょう。
藤  本
次は、ストローをくわえます。そして、ストローからフーと息を吐いてください。
住  吉
それだけで良いんですか? 腹式呼吸とか、そういうことは意識しなくても?
藤  本
はい、何も考えなくて良いです。吸うときはストローを取って、鼻から軽く吸ってください。そして、ストローを持っていない方の手を下腹のあたりに軽く置いて、またストローから息を吐く。先ほど、消化器は一本の管だと言いましたが、口はその管の入口です。口の周りの筋肉を刺激することで、中の消化器が全部通って、下腹の胃腸も少しスペースができて動き出します。
住  吉
呼吸器系かと思ったら、消化器系に効くんですか?
藤  本
消化器系に効きます。よく、姿勢を良くするために肛門をしめろと言いますが、これをやると自然に肛門も意識されます。
住  吉
腸が緩むので、小腸・大腸の働きも良くなりやすい、と。
藤  本
はい。それで胃腸の具合が良くなって、ストレスがかなり解消されますね。ストローがなくても、ストローで息を吐くようにフーとやると良いです。
住  吉
では続いては?
藤  本
肩こりに効くワークなんですが、まずフェイスタオルを四つ折りにして、横向きに丸めます。レストランのおしぼりのような状態です。それを脇の下の深いところに挟んで、ただ手は下ろすだけです。そうすると肩がリラックスされます。脇の筋肉というのは、腕と胴体をつなぐ大事な筋肉なんですが、全然そこが使われていなくて、首から肩の方で腕を引っ張り上げているので、緊張が取れないんです。
住  吉
肩が緩んで、手に血が行っている気がします。すごい! 手が温かくなっている!
藤  本
素晴らしいですね。血流が良くなっている状態です。
住  吉
これは、循環器系ですか?
藤  本
循環器系とも言えますし、基本的には筋骨格系です。
住  吉
筋骨格系のつながりが断絶されているというのは、身体全体の筋肉を上手く使えていないということですか?
藤  本
おっしゃる通りです。特に胴体と手足が大事です。現代生活だと手先だけで仕事をしていることが多いんです。
住  吉
胴体全体で動いていないので、つながっていないんですね。
藤  本
そうなんです。
住  吉
今思いついたんですが、折り畳み傘を脇に挟んで電車に乗っても?
藤  本
そうです、それで良いんです!
住  吉
電車の時間が利用できますね! しかも、普通“ワーク”といったら、力を使ったり、ものすごく集中しないといけないと思いますが、ただリラックスするだけなのですごく良いですね。こういったワークがたくさん詰まっているのが、『「つながり」を感じれば疲れはとれる』の著書です。他にも、舌の緊張を緩める“ベロ出しワーク”があったり、つなぎ目を伸ばす“まわしワーク”があったり、色んなワークが載っていますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
そんな健康と身体のスペシャリストの藤本さんですが、健康診断には行っていますか?
藤  本
はい!
住  吉
やっぱり大事ですよね。では最後に、藤本さんの「健康の秘密」を教えてください。
藤  本
健康の秘密は“つながり”です。
住  吉
藤本さんの著書『「つながり」を感じれば疲れはとれる』は学研から発売中です。藤本靖さん、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。皆さんは、メタボに着目した健診をご存知ですか? 内臓脂肪の蓄積や、血糖、血圧、中性脂肪等を検査します。必要に応じて改善を行えば、心臓病や脳卒中といった生活習慣病の発症リスクを減らすことができます。協会けんぽ加入者ご本人向けの「生活習慣病予防健診」を受けると、メタボのリスク数に応じて、特定保健指導が受けられます。詳しくは、協会けんぽのホームページをご覧ください。
7月27日(木)のゲストは、医師の佐々木巌さんです。次回もどうぞお楽しみに!