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第27回 生稲晃子さん

第26回 梅村敏さん

住  吉
肉体的にも、きっとお薬の影響などもあって大変だったでしょうし、精神的にも、5回手術を受けるということを想像するだけでもすごく大変な期間でしたよね。
生  稲
そうですね。その数年間というのは毎日毎日が無事に送れれば…と思っていたので、辛いなとか、そういう風に考えることはなかったんですね。とにかく頑張ろう、頑張ろう…だったので。今振り返ると、なかなか大変な日々だったなと思いますけどね。
住  吉
娘さんの存在は、どういう治療を選ぶか、どう自分が行動するかということにおいて、大きな存在になったそうですね。
生  稲
そうですね。2011年に最初に見つかった時はまだ5歳だったので、まずそこで言うか言うまいかを悩みました。まだ5歳なので理解はできないかもしれないけれど、母親の状態をわかっていてほしいと思って、全部説明したんです。そこからは一緒に胸の変化も見ていてくれて、病院にもお見舞いに来てくれたりして、小さいけれどもちゃんとがんというものをわかってくれていたんですね。そして2回目の再発の時に、全摘出をしないといけない、2回しこりが出てきてしまったので、3度目また同じようなことがあったら危険かもしれないと先生に言われた時に、「病院側では確実に命を優先する方法を取ります」と言ってくださって、その時に私も決断できたんです。やっぱり「子供が成人するまでは生きていなきゃいけない、死ぬわけにはいかない」と思ったら、「生きるために、胸がなくなるのが嫌だなんて言っていられないな」と思って、全摘出をしました。それはやっぱり娘がいたからですね。
住  吉
娘さんも小さいながら、旦那さんも含め、ご家族はすごく力になってくれたみたいですね。
生  稲
そうですね。あんまり「大丈夫か?」「座っていていいよ」という優しい言葉をかける家族ではないんです(笑) そういう言葉はないんですけれども、“普通”にしていてくれました。特に家で病気の話をするわけでもなく、普通にいつも通りで、私も普通に家の掃除や洗濯をして…という感じだったので、病気のことを忘れることもできて、変に悩んだりさせないでくれました。
住  吉
闘病が終わって、そういうことを振り返って(旦那さんと)お話しはされましたか?
生  稲
その後もそんなに話はしていないんですけれども…。患者って勝手なもので、時には優しい言葉をかけてほしいと思うこともあるわけですよ(笑) 「なんで何も言ってくれないんだ!」と思ったこともあったんですけれども、後から番組で、夫からの手紙を読まれたんですね。そこでわかったんですけど、「“平常心、平常心”と思っていた」と書いてありました。
住  吉
ご家族にとっても、色々なことを考えた期間でしたよね。今は、例えば「早く検査で発見した方が良い」ということも含めて、広く色々な人に伝えなければという気持ちを強くお持ちで?
生  稲
そうですね。時々講演会などに呼んでいただくんですけれども、そこで言っているのは、「やっぱり検査って嫌ですよね。結果を聞くのも嫌です。でも早期発見と早期治療には、検査・検診しかないんですよね」と。自分が経験してそういう風に思ったので、そこは皆さんにお伝えするようにしています。
住  吉
今、健康に関しての考え方は、この全ての経験を通して大きく変わりましたか?
生  稲
そうですね。今まで、まさか自分がそんな大きな病気になるなんて思っていなかったですし、身体のことを考えてあげるということをしてこなかったなと、すごく反省しました。だから、ある意味この病気に教えてもらったんだから感謝しなきゃいけないと思っているんですけれども…とはいえ、特に何もしていません…(笑) “普通”にしています。こうしなきゃいけない、食べなきゃいけない、飲まなきゃいけないということが全部ストレスになるのはダメかなと思ったので、食べたいときに食べようと。暴飲暴食をしなければ大丈夫だろうと。あとは、いつも笑って喋っています(笑)
住  吉
ストレスって結構大きいですよね。もちろん科学的にまだわからないことはたくさんありますけど、ストレスを減らすということはきっと大事ですね。
生  稲
前にカウンセリングを勉強した時にもそんなことを学んだんですけれども、ストレスから色々な病気を抱えてしまうこともあるし、心と身体が繋がっているというのは、自分もこのがんを経験してすごく強く思ったので、やっぱりいつも穏やかで笑っているのが一番健康には良いのかなと。そこはお金もかからないことなので、意識して過ごしています。
住  吉
皆さん、「真面目に生きよう、頑張ろう」と思うから、それがストレスになってしまうんですけど、そういう人にアドバイスしていることはありますか?
生  稲
私がカウンセリングを勉強した時、「認知行動療法」ということを中心にやったんですけれども、その療法というのは、すごく簡単に言うと「考え方を変えれば行動も変わる」と。だから「マイナスなことをずっと考えていないで、そこを少しプラスの気持ちに変えるだけで自分の毎日の生活が変わっていく」という風に、小さなことから始めるだけで生活は豊かに幸せになっていくのではないかなと思っています。そう思いながらも、自分だって毎日イライラすることはたくさんあります(笑)
住  吉
ははは(笑) とはいえ、ちょっとした心構えというか。
生  稲
そうですね。それが大事かなと思います。
住  吉
そして昨年、乳がんの闘病の日々を『右胸にありがとう そして さようなら』というご本にまとめられました。本を出してみて、反響はどうでしたか?
生  稲
まさか私が本を書かせていただくなんて思っていなかったので、緊張感がありながら書いていたんですけれども、皆さんこの本を読んで、ちょうど私と同じような状況にある方は共感をしてくださいましたし、男性の方も、例えば奥さんががんになられた時に、どうやって向き合ったら良いのかということも参考になったと言ってくださるので、書いて良かったのかなと思っています。
住  吉
あと、誰よりも健康診断の大切さを知ったと思うんですけれども、その後も健康診断は定期的に行っていらっしゃいますか?
生  稲
そうですね。年に1回、人間ドックを受けるようにしているのと、まだ治療中なので、3ヶ月に1回乳腺科に通ったり、ホルモンのお薬を受けると、胸には効果があるけれども子宮体がんを引き起こす危険があるということで、半年に1回婦人科の検診も行っています。
住  吉
では最後に、生稲さんの「健康の秘密」を教えてください。
生  稲
健康の秘密は“笑顔”です。笑いたくない時は微笑むだけでも良いそうだし、微笑むのが嫌だという時は、口角を上げるだけでも良いそうなので、そのぐらいはできるかなと(笑)
住  吉
先ほどおっしゃっていたように、大変でもあえて…。そういう研究もあるそうですね。生稲さんのご著書『右胸にありがとう そして さようなら』は光文社から発売中です。ぜひ手にとってお読みください。生稲晃子さん、ありがとうございました!
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